人権無視の入管法改悪には断固反対します!

G7広島サミットが519日から21日にかけて開催されました。岸田首相は、準備段階から「日本の魅力を発信する機会」としていましたが、世界をリードする国にならんとするならば、人権後進国と言われる現状を変えていかなければなりません。

改正入管法(出入国管理及び難民認定法)の法案が59日に衆議院で可決し、現在参議院で審議中です。この改正案に対し、東京・生活者ネットワークは国際的な人権基準を満たさないものとして断固反対します。

この改正案は、日本も批准している世界人権規約や難民条約、子どもの権利条約等に抵触するとしてかねてから批判も多く、国連人権理事会の特別報告者から今年4月に「人権侵害の疑い」があるという内容の共同書簡が日本政府に送られています。

在留期間を超えた外国人を司法の判断なしに出入国在留管理庁の裁量で収容する、無期限収容のしくみになっている、仮放免になっても就労が禁止され生活保護受給もできない、在留資格がない親のもと日本で生まれた子どもたちに対し10歳を過ぎたら親子での在留許可を検討するという入管庁のガイドラインが守られてない、など人権上のさまざまな課題は、改正法案によっても解決されません。

特に、現行法では、難民申請中は強制送還されないというルールが、3回以降の申請で「難民認定すべき相当の理由」を示さなければ強制送還になる、という改悪内容は難民申請者のいのちに関わる大問題です。危機的状況から、逃れてきた難民個人に、日本基準での証明文書を求めている今の入管による難民認定の方法にそもそも問題があり、このままでは、祖国に帰れば命を失うかもしれない人を強制送還するという非人道的な国に日本がなっていくことになりかねません。

振り返ると、この改正案は2021年に与党が提出した際、名古屋出入国在留管理局でスリランカ女性ウィシュマ・サンダマリさんが病死した事件が批判を浴びたことで成立を見送ったものです。しかし、今回の改正案は基本的には同じ内容で、この時に指摘された入管行政の人権意識の低さや日本の難民認定の厳しさなどの抜本的改善策は全く盛り込まれていません。新設された監理措置制度も収容所外で生活するためには家族や市民、弁護士などが無報酬で監理人を引き受けなければならず、実質的に機能するのかまったく不透明です。

改正案には多くの有識者や市民団体、市民が抗議の声を上げています。G7に参加しているだけでは先進国とは言えません。人権基準を国際水準に引き上げることができてこそ、真の共生社会が実現します。改悪入管法案を撤回し、第3者機関による難民認定、子どもの権利に沿った対応などを盛り込んだ法律に改正することを、東京・生活者ネットワークとして強く望みます。

2023年522

国会前での入管法の改悪に反対する大集会。5月12日

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