おおぜいの市民の手による「まちづくり博覧会」

杉並区議会議員 樋口蓉子  
杉並・生活者ネットワーク

 今、「まちづくり」に市民の関心が集まっています。さまざまな地域で市民のまちづくり活動が活発に行われていますが、杉並区では、1998年以来「まちづくり博覧会」が開催されています。

 「まちづくり博覧会」(略称「まち博」)はさまざまな分野で活動するグループが一堂に会し、それぞれの活動成果を発表し、交流する場をつくることで、個々のグループだけでは解決できない悩みや課題の解決の糸口を見つけたり活動の発展に役立つことを願って始まりました。日常的には、これから地域活動を始めようとする方への情報提供の意味も込めて、まちづくりニュースを発行したりテーマを定めたミニフォーラム(まち博ミニ)を開催しています。

 しかし、この活動は突然に始まったものではなく、開催に至るまでには市民の知恵と意欲が込められており、私ども杉並・生活者ネットワークも当初から応援しています。

 杉並・生活者ネットワークでは、当時芽生えてきた市民のまちづくり活動を行政としても支援することを区議会で提案し、これがきっかけになって(財)杉並区まちづくり公社が1995年に「まちづくり活動助成」を始めました。書類審査を通過した団体にまずは半額、そして年度の終わりには公社主催の活動報告会に参加し再び審査を受け、助成金の残額を受け取るというものでした。1回目の報告会には70名の参加があったもののそのまま終了し、せっかく集まったのに交流の機会がなかったことは残念!という意見が出されました。そこで第2回目は報告会終了後に交流の場が初めて持たれました。これをきっかけに、助成を受けた団体だけでなくまちづくり活動に興味を持つ人やこれから興味を持つであろう人へ何らかのアクションが必要だという考えの人たちが集まり、「まちづくり博覧会」実行委員会を立ち上げたのです。この発想は行政からはなかなか出にくいもので、実際に活動している市民側からの提案であったことは意味深いものがあります。

 その後、公社と協議の場を持ちながら、98年にはまちづくり活動助成報告会と第1回「まちづくり博覧会」が同時開催されました。200人ものまちづくり活動に取り組んでいる人たちが集い、語らい、盛況でした。これは杉並区にあっては実に画期的な出来事でした。

 2000年3月には第3回「まちづくり博覧会」が活動助成報告会と同時開催されました。ところが、区の財政難もあって100%区の出資によって事業を行っていたまちづくり公社が、これを最後に解散するという事態になりました。そこでこの「まちづくり博覧会」終了後、すぐに市民団体や個人が集まり、今後「まちづくり博覧会」をどうしていくかという議論が始まりました。半年に及ぶ議論の結果、自分達の手で「まちづくり博覧会」を開いていこうという結論を出し、2000年11月28日、その名もズバリ「まちづくり博覧会」という団体が設立されました。現在、2001年3月の第4回「まちづくり博覧会」開催に向けて準備を進めています。

 近い将来、「まちづくり博覧会」はまちづくり活動についての知恵と情報を集積するNPOに発展することも視野に入れています。このように杉並区では、市民のまちづくり活動が緩やかなネットワークを組みながら豊かに、また生き生きと展開されてきています。

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