善福寺川上流地下調節池と外環道建設に関する国交省ヒアリングが行われました
12月9日、参議院議員会館101会議室で、「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」による国交省ヒアリングが行われました。この日のテーマは、私たちの市民生活に直結する問題である、善福寺川上流地下調節池と東京外環道。広い会議室が満席になるほど多くの市民が詰めかけ、議論のゆくえを見つめました。
まずは善福寺川上流地下調節池について。当事者を含む市民団体が都の計画に対する国交省の認識を質問、なかでも大西隆さん(東大名誉教授)が指摘したB/C(費用便益比)は、都がこの事業について公表しておらず、試算すると1.0を大きく下回る(つまり、便益よりも費用のほうが高くなる)。この事業に国費を交付することは浪費ではないか、こうしたモラルハザードないし公金濫用を防ぐために交付金の要綱改正が必要ではないか、と提起しました。国交省担当者の答えは、都が示した資料を確認していると、今定められている要綱から1ミリもはみ出さない内容で、「意見があったことは伝える」にとどまりました。
外環道についても、調布市での陥没事故以降も生活が破壊され健康被害も解決されないなかで進む事業への問題点が出されました。こちらのB/Cも、費用に陥没被害への補修や対策費用、環境破壊や低周波音等が計上されていないこと、便益には、範囲が公開されていない「その他の道路」2万㎞の時間短縮便益(これが便益全体の83%)があるとしているが、2万㎞というと、現在の事業区間から110㎞、関東の広い部分をエリアとする主要な道路と考えられる。過大に見積もった便益についても改善すべきと質しました。国交省は、「その他の道路」の具体的な範囲を示すこともなく、ゼロ回答と言うべきものでした。
「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」は、超党派の国会議員による会ですが、最後のあいさつで、そもそもB/Cには、公共事業による環境破壊、生活破壊、健康破壊がコスト化されるべきだと述べました。いい加減な数字合わせのためのB/Cでは、きちんとした事業評価はできません。公共事業を進めるうえで、行政の説明責任は必要不可欠です。説明を尽くし住民合意を得るよう、今後も求めていきます。
※B/C(Cost Benefit Ratio:費用便益比)は、公共事業やプロジェクトの効果を評価するための指標であり、総便益を総費用で割った値。

