柏崎刈羽原発の再稼働を止めよう！　2つの抗議集会　開催される

9月11日午後、東京電力柏崎刈羽原発（新潟県）の再稼働阻止をメインテーマに、2つの集会が開催された。東京・生活者ネットワークメンバーもこれらの集会に参加した。

911脱原発・経産省前大集会 ―東電柏崎刈羽再稼働阻止― 

9月11日の14時から、霞が関の経産省本館前で、「経産省前テントひろば」主催の集会が開催された。集会開始直後から大雨、雷雨の悪天候となるなか、150人以上の市民が参加。

14年前、2011年3月11日の東電福島第一原発事故発生の半年後、9月11日に、経産省前に脱原発をめざすテントを市民有志が設置し、継続した訴えの拠点とした。テント自体は、2016年8月21日に強制撤去されたが、その後も毎日、「経産省前テントひろば」として経産省前の歩道での座り込みを続けている。「経産省前テントひろば」は、毎年9月11日に、脱原発・経産省前大集会を開催してきた。

今年の集会は、朴保（パクポー）さんの歌で開始、「原発いらない」「再稼働反対」のコールの後、守屋真実さんの歌などもはさみながら、各方面からのゲストがリレートークをした。発言者は、福島から武藤類子さん、新潟から小木曽茂子さん、元経産官僚の古賀茂明さん、衆議院議員の上村英明さん、ルポライターの鎌田慧さん、たんぽぽ舎の山崎久隆さん、テント弁護団の一瀬敬一郎さんら。「経産省前テントひろば」の各曜日の担当者もアピールした。

 

以下は、この日、経産省前テントひろばが、経産省あてに出した申し入れ書。

経済産業大臣　武藤容治様・経産省の皆様
資源エネルギー庁長官　村瀬佳史様　資源エネルギー庁の皆様

核分裂で湯を沸かす原子力発電は危険でかつ地球を放射能汚染します
福島第一原発事故を起こした東京電力に柏崎刈羽原発の再稼働を許してはいけません

2025年９月11日　「経産省前テントひろば」

原子力発電（核発電）は最大の地球環境破壊装置
原子力発電（核発電）は、火力発電中のボイラーの換わりに原子炉を置き、原子炉で核分裂を起こしてお湯を沸かしてタービンを回す愚かな装置である。
核分裂で発生する核のゴミは膨大で行き場無く、周辺環境を放射能汚染し、労働者を被ばくさせる。また、核分裂エネルギーの3分の2を外部に排出する為に、海温め装置であり、一方河川の水を使用しているフランス・スイスでは河川の水が熱くなりすぎる為にこの夏には原発を緊急停止した。核発電は、ウラン採掘から廃炉に至るまでに膨大なCO2を排出する。
そう、事故が起こらなくても原子力発電（核発電）は人類が使うべきではない装置である。
日本で核発電を開始してすでに半世紀以上。排出した核のゴミは膨大で、かつ再稼働で増え続ける高レベル放射性廃棄物を保管管理する場所が半世紀以上見つからない。

福島は終わっていない
半世紀以上の核発電稼働の間に、数々の原発事故が起き死傷者も出した。特に、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により東電福島原発事故を起こし、日本史上例のない原子力災害をもたらした。被ばく影響は長野県や静岡県にまで及び、福島周辺に住む多くの人々が被ばくし、多数の死傷者を出し、今もその被害が続いている。福島県のがん多発も報じられている。
今だに周辺の放射性物質濃度は高く、帰還困難区域が存続し、日本は今も「原子力緊急事態宣言」下にあり、2次災害を防ぎながらの廃炉作業は進まず、デブリを数グラム取りだしただけで、ロードマップの改訂も2019年からできないでいる。一方、イチエフ（福島第一原発）への地下水流入を止めることもできずに放射能汚染水を増やしながら、「ALPS処理水の海洋放出」（放射能汚染水の海洋投棄）をし続けている。
東京電力は80近くの訴訟を抱えている。福島は全く終わっていない。

誰も大事故の責任をとらず、誰も再稼働して安全と言わない
これだけの事故の責任を誰がとったか？　今も司法で係争中であるが、原発を推進し原発事故が起こることを容認した国（経産省、規制当局）は何ら責任をとっていない。
一方で、推進と規制の分離の為と称して新たにできた原子力規制委員会は、事故直後に存在した54基の稼働を容認する為に、緩やかに過ぎ甘い甘い「新規制基準」を制定し、さらに甘い甘い審査で、川内原発から順次多くの核発電装置の稼働を容認し、今は約14基が稼働している。ドイツや台湾が311事故を目の当たりにして原発を止めているにも拘らず、広島・長崎・福島を経験した地震多発国である日本で今も核発電し続けていることは、余りに愚かである。
経産省がGX推進・第7次エネルギー基本計画で「原発依存度を可能な限り低減する」文言まではずして原発推進し、元来技術力を持っていた再生エネルギーをつぶしていることはあまりにも愚かである。
まして、憲法九条を持ち、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄」した日本国が、核兵器の為に核発電を続けることは許されない。

柏崎刈羽原発の再稼働を許すな
ところが経産省も東電も今、柏崎刈羽原発の再稼働を目論んでいる。
前述した様にあれだけの事故を起こした東電に原発を動かす資格は無い。
より具体的に柏崎刈羽再稼働に反対する理由を以下に列記する。
1　能登半島地震から「天を恐れよ」
2024年正月の能登半島地震は、家屋倒壊・道路寸断・海岸線隆起・海底隆起による津波、変圧器の火災（志賀原発）など多大な被害をもたらしたばかりか、佐渡島・柏崎刈羽周辺の調査はまだこれからだ。新たな知見から基準地震動などの妥当性を確認するまでは、柏崎刈羽原発の再稼働をしてはならない。
2　被災原発を動かすな
柏崎刈羽原発は2007年の中越沖地震で被災した。それゆえ、例えば東電が本年8月7日に「6号機における燃料装荷後の健全性確認について」にある様に、ウィスカ※が見つかり原子炉の稼働は余りに危険である。
3　特重無しで原発動かすな
東電は特定重大事故等対処施設（特重）建設が遅れた為に7号炉の稼働計画を延期したが、1年以上も前に燃料を装荷することも危険で愚かであった。6号炉も特重無しで稼働を容認してはいけない。
4　核物質防護違反
東電は数年前に柏崎刈羽で核物質防護違反を起こししばらく審査が止められていた。一昨年末にそれが解けたにも拘らず、本年6月にまたまた核物質防護違反を起こした。それでなくとも、数多くの事故・トラブル隠しを続けてきた東電は全く信用できない。
5　避難計画は絵空ごと
柏崎刈羽地域は豪雪地帯であり避難が困難であることは明らかであったが、8月30日の柏崎市での原子力災害を想定した避難訓練でも、夜間のヘリコプターでの避難が非常に困難であることが明らかになった。IAEAの深層防護第5層が達成できないのだから原発を動かしてはいけない。

座込みを続ける経産省前テントひろばの脱原発の願いを尊重せよ！
私たちは、イチエフ事故の半年後である2011年9月に経産省の一画にテントを張り、約1800日間脱原発を訴え続けてきた。強制撤去された後は、経産省本館前で毎日交代で座り込み脱原発を訴えている（但し本年8月から土日休日の座込みは休み）。
また、毎週金曜日夕刻には経産省本館前で1時間の抗議集会を開催して経産省に脱原発と武器輸出入反対を訴え、毎月経産省に脱原発を訴える抗議・申入書を提出している。
残念ながら、経産省・資源エネルギー庁は、311直後から東電を潰さずに原子力発電を残す策略を練り、そのとおり実行して現在に至っている。
しかしながら、上記に縷々述べた様に、これ以上核発電を続けることは間違っている。直ちに脱原発を実現し、環境に配慮しつつ再生可能エネルギーを活用していくことを強く要望する。

最後に、私たち経産省前テントひろば、及び全国のあるいは全世界の脱原発を訴える人たちの願いを真剣に受け止めて、核発電を止めて頂きたい。

※ウィスカとは結晶表面からその外側に向けて自然成長する細くて小さな金属単結晶のこと。

 

9.11再稼働阻止・東電本店前抗議行動
～柏崎刈羽原発再稼働阻止！！～

 9月11日、17時からは、内幸町の東京電力本店前で、東電柏崎刈羽原発再稼働阻止を訴え、抗議行動が取り組まれた（主催：再稼働阻止全国ネットワーク）。
事故を起こした東電に対し、申し入れ書を提出し、各方面のゲストがスピーチした。
申し入れを提出したのは、「さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト」代表の小木曽茂子さんと「再稼働阻止全国ネットワーク」の漆原牧久さん。
スピーチに立ったのは、たんぽぽ舎の柳田真さん、参議院議員のラサール石井さん、福島から武藤類子さん、新潟から小木曽茂子さん、たんぽぽ舎の山崎久隆さん、脱被ばく実現ネットの宮口高枝さんほか。歌による抗議は朴保（パクポー）さん。
参加者は、東京電力へむけて、「柏崎刈羽原発を再稼働するな」とコールした。