米価格の倍増は自民農政の失敗 生産者と消費者を守る安全で美味しい国産米を!

国民の主食である米の価格が1年で倍以上というのは異常事態である。今般、失言により前農林水産大臣と交代した新大臣が、備蓄米の売却先を入札から随意契約に変更し店頭価格を2000円にすると言及したが、東京・生活者ネットワークとしては、自民党の長年の米政策が国民の食料の権利を侵害し食の安全保障を脅かすものになっていると捉えている。
国産米は、戦後の食糧難の時代を経て、いわゆる米余り対策として60年代後半から減反政策が続いてきた。流通面においては、1995年の食糧法施行以降はゆるやかな規制に切り替えつつ、2004年には食糧法を改正し、制度上は完全自由化になったとされる。
しかし、生産面において政府は需要予測を提示し、道府県ごとに生産量の目安を立てており、減反政策廃止後も、麦や大豆、飼料作物などに転作、生産に対して出す「水田活用の直接支払い交付金」は継続。実質的な減反政策は続いていたと指摘する専門家も多い。
また、政府は米の生産性向上のための大規模化を進めており、昨年改正した食料・農業・農村基本法においても、大規模化(農地の集団化)とデジタル活用によるスマート化を位置付けた。 

全国の道府県では、気候の変化に応じながら地域の実情に合わせ、より美味しい米を生産できるよう研究を重ね、米農家も努力を重ねてきた。山間地が多い日本において、大規模化には限界があり、60歳以上が9割を占める稲作農家がスピーディにスマート化を実現するのは困難である。小規模稲作にも助成して新規就農者を増やし、担い手を少しずつ増やしながら、生産者育成をしていく保護的な政策が現実的な取組みではないだろうか。主食である米の価格安定を生産者と消費者にのみ責任を負わせるのは問題である。
改正法には、供給量を高め輸出に回す方針も出されているが、そのいっぽうで米の価格安定のため米を輸入するという話も出ており、本末転倒の政策である。
食生活の変化や少子高齢化など要因で米の需要量の減少傾向にあるなか、これ以上農家の努力のみに米の安定確保を求めることは、食の安全保障や国民の食料の権利を守るという意味で、政治の不作為であることに焦点をあてるべきだ。

米の価格倍増は、24年夏の南海トラフ地震予想と台風という防災行動に端を発しての流通混乱によるものであった。集出荷業者等が価格設定の核を握っているという課題指摘も含め、流通のあり方を見直すとともに、主食であり日本の食の柱である米の価格を、市場のみに任せるという発想でなく、生産者も消費者も守る視点で治めていく農業政策が求められる。果たして自民党政治のまま、それが実現できるのか? 食の安全の面でも食料の権利を守る良質な国産米が国民にいきわたる政治判断を望む。

2025526

東京・生活者ネットワーク

3月30日、全国の農家や米高騰に不安を持つ消費者らが、港区から渋谷区にかけてデモした「令和の百姓一揆」。杉並・生活者ネットワークのメンバーとともに元都議会議員小松久子も参加した

 

 

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