能登半島地震発生 一刻も早い被災者支援の充実と都市防災の見直しを 

新年早々に発生した能登半島地震、羽田空港衝突炎上事故は、改めて命を守り人権を保障する政治の重要性を突きつけています。誰もが突然どこにいても災害や事故に遭遇する可能性があります。だからこそ人災は極力防ぎ、被災された人の身体的精神的ストレスを軽減し、当事者目線にたったていねいで真摯な支援体制の構築が必要です。

能登半島地震では、国と県の初動体制の不手際で、発災後の被災状況の把握ができず被害が過少評価され、孤立集落や避難所への水や食料、物資の搬入も遅れました。

 

女性・子どもの視点とスフィア基準を

生活者ネットワークは、阪神・淡路大震災以降、防災計画や避難所運営に女性・子どもの視点を盛り込むことや、人道支援における原則や最低基準を示した「スフィア基準」に基づく支援を求めてきました。具体的には、応急給水の提供体制づくり、避難所等での性被害の防止、固定的性別役割分担による運営の見直し、情報伝達でのやさしい日本語や多言語化、子どもの学びや遊びの保障、ペットの同行避難、広域連携などです。特に避難所については、体育館で間仕切りのない雑魚寝やプライバシーがなくてもがまんせよという概念を払拭し、災害時でも人権を保障する支援へ意識改革をしてきました。

 

地震大国イタリアのTKB 48

同じ地震大国であるイタリアでは、トイレ(T)、キッチン(K=食事)、ベッド(B)を48時間以内に整える「TKB48」を目標として対策を講じています。安心で十分な数のトイレ、暖かい食事を提供するキッチンカー、体を休める簡易ベッド、テントなどの備蓄が法や条例等で義務づけられ、発災48時間以内に、事前に研修を受けた地元のボランティア団体などが小規模避難所を運営するといいます。

生活者ネットは、以前から都議会でイタリアを参考にした自立型トイレトレーラー、キッチンカー、簡易ベッドなどの整備を求めてきました。すでにトイレトレーラー(=トイレカー)は、全国の基礎自治体で導入が進んでいます。

 

地震列島日本!原発からの撤退を

また、今回の地震は、地震列島日本での原発のリスクを改めて露わにしました。北陸電力志賀原発は大きな地震が起きやすい地域に立地し、想定以上の揺れが起きました。北陸電力は2007年に臨界事故の隠蔽が発覚し批判を浴びた経緯があり、今回も事実の正確な情報提供における問題がありました。地理的なアクセスが限られた地域での緊急避難、救援の問題も露呈しました。政府は、即刻、原発に前のめりの姿勢を改め、脱原発にこそ舵を切るべきです。生活者ネットは、強く、一日も早い「原発ゼロ」政策の実現を求めます。

 

羽田新ルートは即時中止へ!羽田空港の本質的な改善を

羽田空港に関しては、これまでも離着陸の過密や管制官等の人員削減による過度な負担などが指摘されてきました。しかし、国は世界の空港運用とは真逆の、都市空港・羽田空港の増便を推し進め、2020年からは東京都心を低空飛行する新飛行ルートの運用も開始しました。これに対し、生活者ネットは予てより反対しています。今回の事故を顧みても、羽田新飛行ルート運用により、過密する離着陸の問題が根底にあることは明らかです。私たちは、市民生活の安心・安全を守るために、羽田新ルートは即時中止へ! 羽田空港運用の本質的な改善を求めます。

東京・生活者ネットワーク代表委員/前都議会議員 山内玲子

 

写真は、東京消防庁のトイレカーとその内部。神田署と立川署に配備

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