東海第二原発の再稼働を許さない 11.18首都圏大集会 開催される

1118日、千代田区の日本教育会館一ツ橋ホールで、「東海第二原発の再稼働を許さない 11.18首都圏大集会」(主催:とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)が開催され、700人が参加。生活者ネットワークメンバーも参加した。

主催者スピーチをする柳田真さん

はじめに登壇した、小出裕章さん(原子核工学博士/元京都大学原子炉実験所助教)は、「嘘で固められた原子力 東海第二原発の再稼働」と題して講演。

小出さんのお話:フクシマ事故は膨大な被害と被害者を生んだ、フクシマ事故から得た教訓は「原発は巨大な危険物を抱えた機械であり、それが事故を起こせば、破局的な被害が出る。原発は一刻も早く全廃すべきだ」というものだった。しかし、加害者である東京電力、原子力を進めてきた国(小出さんのいう「原子力マフィア」)が得た教訓は、「どんなに悲惨な被害を与えても、誰も責任を取らずに済むし、会社も倒産しない。その上、大儲けを続けられる」というものだった。「原子力マフィア」は自分たちの罪について一切の謝罪も反省もせず、「原子力緊急事態宣言」が解除もできないのに、フクシマ事故を忘れさせようとしている。政権が危機に直面すればするほど、政権はマスコミと教育を支配して、嘘の情報を流す。主権者としての私たち一人ひとりが賢くなる以外にない。運転開始から45年が経つ老朽化、できるはずがない避難計画の点からも、東海第二原発は廃止すべきだ。

講演する小出裕章さん

 

原発事故避難したシンガーYUKARIさんの歌のあと、鴨下美和さん(福島原発被害東京訴訟原告)が、「原発事故は国の責任です。原告が語る被害と理不尽」と題して講演。

原発事故避難したシンガーYUKARIさんが歌う

鴨下さんは、いわき市から家族5人で避難。避難元が避難指定区域外のため、支援や賠償から外され苦難の日々を送る。住民を守らない政府の責任追求と、被害に見合った賠償を求めて、福島原発被害東京訴訟の原告となる。ジュネーブ国連人権理事会など国内外で原発事故被害を伝える活動を展開する。

講演する鴨下美和さん

鴨下さんは、2011614日時点のヨウ素131の汚染度マップと、計測のために飛んだ航空機の軌跡を表した地図を並べ、汚染が低いとされた区域は、計測の航空機が飛ばなかった、しかも、そこは人口過密地の福島市、郡山市、いわき市などであると明らかにした。

鴨下さんが提示した、ヨウ素131の汚染度マップ(右)と、計測のために飛んだ航空機の軌跡を表した地図

 

前東海村村長の村上達也さんは、東海村の現状として、現在の山田村長は完全に原子力界に取り込まれていると批判。日本原電は、防潮堤工事の施工不良も問題にせず、来年9月の再稼働にむけて突き進んでいる。経済基盤のない日本原電を、東電はじめ原子力界が総力をあげて支援する構図となっている。村上さんは、ガンジー「塩の行進」、キング牧師の行進を例にあげ、対抗する行動を起こし、ひろく耳目を集め、東海第二原発を止める歴史をつくろうと呼びかけた。

東海村前村長の村上達也さん

 

次に登壇した茨城県議会議員の江尻カナさんは、内部告発によって発覚した、東海第二原発の防潮堤工事の「施工不良」問題について報告。東海第二原発の再稼働にむけて地震・津波対策として建設中の防潮堤で、「基礎部分のコンクリートが正しく打設されていない」「鉄筋が正しい形で組まれていない」「北基礎が岩盤に到達していない」などの施工不良が明らかになったという。日本原電は、6月に施工不良を確認していたにもかかわらず、10月に江尻県議が会見を開く当日までこれを公表しなかった。自治体や住民を軽視し、安全を軽視する日本原電の姿勢が露呈している。

続いて、東海第二原発差止訴訟団の報告、「とめよう!東海第二原発首都圏連絡会」の報告があり、各地からの報告として、茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川で活動している市民団体のさまざまな活動報告があった。

東海第二原発差止訴訟団の披田信一朗さん

とめよう!東海第二原発首都圏連絡会の志田文広さん

茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川で活動している市民団体が壇上に並び、さまざまな取り組みを報告した

「集会決議」(末尾参照)を、参加者の拍手で採択して閉会となり、その後、参加者は神田神保町をめぐるデモ行進に出発し、街ゆく人々に、「原発いらない」「再稼働とめよう」「いのちを守ろう」「東海第二再稼働はんたい」「日本原電は原発やめろ」とアピールした。

旗やプラカード、横断幕を掲げて、神田神保町界隈をデモ行進

 

集会決議

私たちは、本日、1118日――あと10日で運転開始から46年ともなる老朽原発・東海第二原発の再稼働を許すわけにはいかないと、集まりました。

12年前の2011311日、マグニチュード9.0という未曽有の大地震と大津波となった「東日本大震災」に見舞われ、東京電力の福島第一原発は人類史上最大級の原発事故となり、この国では、現在でも「原子力緊急事態宣言」下にあって、郷土を奪われた福島の人びとの苦しみは続いています。

その福島の隣に位置する茨城県・東海村の、日本原子力発電という原発専業会社の東海第二原発は、3.11で津波に襲われ、地震による全交流電源喪失となり、頼りの非常用ディーゼル発電機の内1台が津波で動かないという事態に、アワやというところまで行った被災原発でもあります。

さらに、この原発は事故を起こしたBWR型の初期のタイプであり、これ以前の同型の原発は事故や老朽化ですべて廃炉となりました。設計の旧さや、そもそも砂地という地盤に問題があり、津波にもっとも弱い立地。そして、今、周辺30km圏内に92万人が居住するという、実効性ある広域避難計画など作ること自体が無理という原発なのです。

裁判では、控訴審が東京高裁で継続中ですが、一審の水戸地裁は、住民勝訴「原電は東海第二原発を運転してはならない」との判決を下したのでした。

そして、先日、工事関係者からの内部告発で明らかになったのが、再稼働の前提の新規制基準で主要な柱である「津波対策」のための、原発の周囲を囲む地上20m高の防潮堤建設で、その基礎工事に施工不良―というより欠陥工事があること。原電は追及されるまで4か月間も公表せずに、事実上の隠蔽を図ってきていたという問題です。

単に施工不良ばかりでなく、その北側基礎は地下56mの安定地盤まで届いていなければならないのに、そのまま工事を進めたので不完全な基礎になっている、という重大な告発について原電は十分な説明もしておらず、実際、工事のやり直し以外に安全な防潮堤とはならない事態に口をつぐんでいます。

敦賀2号機の審査ではデータ改ざんまで行い、財政基盤も危うく、コストと工期で建設業者に無理をさせてきた日本原電です。徹底した監視、調査と説明を求めるとともに、規制官庁である規制委・規制庁に対して厳格な規制を求めます。

私たちは、2度と原発の過酷事故を起こさせず、故郷を追われ、国土を喪失することにもなる原発災害のない社会にさせたいと思います。

岸田政権のGX―グリーン・トランスフォーメーションなどという脱炭素のために原発を使うというまやかしの政策をしっかり見切り、自然再生エネルギーと社会の省エネ、省電気の促進を進めることで、原発は不要であり、原発の運転は更なる放射性廃棄物を生み出し、その始末も出来ずに、次世代に危険を残すこととなると、声を大に訴え続けていかなくてはならないと思います。

私たちは、東海第二原発の再稼働をけっして許さず、廃炉とすることを求めて、首都圏の市民とともにたたかい続けることを宣言します。

20231118

東海第二原発の再稼働を許さない11.18首都圏大集会 参加者一同

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