原発ダメなら核燃施設?! 上関町に使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画の愚——原発ゼロ!にこそ舵を切れ

原発ダメなら核燃施設?! 上関町に使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画の愚
——原発ゼロ!にこそ舵を切れ

2023年8月25日

東京・生活者ネットワーク

中国電力が、山口県上関町に原発建設を予定して所有する用地の一角に、使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設を検討する計画が浮上。中国電力が中間貯蔵施設の建設を山口県上関町に申し入れを行うと表明してひと月も経ない8月18日、上関町の西哲夫町長は同施設の立地可能性調査を受け入れるとの電撃ニュースが流れた。

国民全体、国民一人ひとりのエネルギー消費にかかわる現在・過去・未来の問題を、たった一つの町だけで決めてよいのだろうか? そもそも中国電力が計画する上関原子力発電所は、上関町長島の海浜を埋め立て建設を予定するもので、2011年に発生した東京電力福島第一原発事故を受けて工事が中断。何より、原発予定地の住民らによる、長きにわたる粘り強い抗議行動、反対運動の前に暗礁に乗り上げたと言え、中国電力は、先行きの見通しが立たない状況に追い込まれていた。

今回の中間貯蔵施設建設計画。事の発端は、原発建設の中断で、財政が逼迫することを懸念した上関町が、かねてから中国電力に新たな地域振興策(交付金)を要請。これを受ける形で、中国電力が関西電力に金銭面の協力、中間貯蔵施設の共有を呼び掛けたというものだ(関西電力は、福井県内の3つ原発の敷地内に保管する使用済み核燃料について、2023年末までに県外搬出先を特定すると同県に約してきた経緯がある)。

<原発推進-使用済み核燃料貯蔵-再処理>=核燃料サイクルは破綻している

原発を動かせば動かすほど、あらゆる生命体にとって有害となる放射性物質の塊=使用済み核燃料が増えていく。国・岸田政権は、再処理して再び燃やす「核燃料サイクル」を掲げるが、莫大な国費を投入して建設を予定した高速増殖炉「もんじゅ」は撤収を余儀なくされ、六ヶ所再処理工場も破綻、イギリス・フランスに再処理を委託したものの、危険極まるMOX燃料の再利用は手に余っているあり様であり、核燃料サイクルの実態は、完全行き詰まりを見せている。

このことからも、使用済み核燃料の中間貯蔵をめぐる一時しのぎの建付けに腐心するのではなく、GX法という隠れ蓑=その実、原発再稼働がもたらす不都合な現実を直視し、次世代に負の遺産を先送りする原発再稼働を見直し、「原発ゼロ!」にこそ舵を切るべきだ。

東京・生活者ネットワークは、瀬戸内海を臨む山口県上関町長島での原発建設計画にまった!をかけるため、主に首都圏を中心に活動している市民グループ『上関原発どうするの? ~瀬戸内の自然を守るために~(注)』に賛同参加、30数年を建設反対に費やしてきた上関町長島や祝島の住民らと連携してきた。最大で無二の日本の内海、瀬戸内海の環境を保全するためにも、「原発ダメなら中間貯蔵施設」と言わんばかりの中国電力の暴挙、愚策を見過ごすわけにはいかない! 止めなくては済まないと考える。

(注)8/13収録:上関どうするネット緊急リレートーク「中間貯蔵施設が上関町の新しい地域振興策なのか?」が公開中、皆さんの視聴を呼び掛けます。
URL:https://youtu.be/-ctlgZnt_qw

広島市の中国電力本社前での、市民による抗議行動、8月25日。写真提供:上関原発止めよう!広島ネットワーク溝田一成さん

中国電力が上関原発の建設を計画している、山口県上関町長島の田ノ浦。沖に祝島(いわいしま)が見える

「上関原発どうするの? ~瀬戸内の自然を守るために~」(上関どうするネット)のメンバーとして、上関原発建設予定地での実地踏査に参加した。2010年11月

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