軍事でなく生活優先の政治を――軍拡競争で平和は手に入らない

軍事でなく生活優先の政治を――軍拡競争で平和は手に入らない

2023年2月10日

東京・生活者ネットワーク

  昨年末1216日、政府は安保関連三文書改定を閣議決定しました。歴代政権が戦後一貫して否定してきた敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有、防衛費の倍増を明記したこの改定は、平和主義の否定であり、東京・生活者ネットワークは、強く反対し撤回を求めます。

 

国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛整備計画からなる安保三文書の同時改定は、国際平和における日本の立ち位置を変換させる重要政策です。にもかかわらず、改定内容については自民公明与党、有識者会議で話し合ったのみで、公聴会やパブコメはおろか国会への説明さえなく閣議決定されました。法律ではない政府文書であるとはいえ、国民的議論を経ずに、国のかたちを決定づける重大方針を自分たちだけで決めていく岸田政権の姿勢は、民主主義の否定であり甚だしい国民軽視です。

振り返れば昨年6月、財政運営の指針である「骨太の方針」で防衛費倍増(GDP比1%から2%)を一方的に公表したことで、安保三文書中の中期防衛整備計画の期間延長や経費増額を明記する筋道ができており、結論ありきの姿勢に怒りを禁じえません。そもそも、NATO(北大西洋条約機構)加盟国に準じた防衛費水準にしなければならない明確な理由は一切説明されていません。

防衛費は現行のGDP1%程度の方針のもとであっても、第2次安倍政権以降膨らみ続けています。背景にはアメリカからの武器調達への支払いローン返済の増大も見え隠れしています。陸上自衛隊木更津駐屯地に暫定配備中の輸送機オスプレイが21日、大規模災害に備えた訓練飛行と称し立川に初飛来。陸自立川駐屯地周辺自治体の懸念の声や市民による抗議が続いているオスプレイの問題も無関係ではないのです。

 

また、反撃能力の保有は政府が示すような抑止力になるとは言い難く、自公政権が主張する「専守防衛」の枠を逸脱し、憲法の平和主義の精神にも反します。ロシアのウクライナ侵攻や中国や北朝鮮の動きを理由に、雰囲気のみで軍拡の道を一気に突き進むことに大きな危惧を覚えます。

2025年を目前に本格的な超高齢化を迎える日本社会において、これ以上防衛費を増やすことは、社会保障や医療費の抑制につながる懸念もあり、国際情勢の不安をあおる政府の喧伝による不安感で、若い世代が将来への希望を感じとることができなくなれば、少子化への歯止めはますます効かなくなります。コロナ禍で疲弊した市民生活にこそ、血税は費やされるべきです。

平和はたゆまぬ外交努力と国際的対話においてもたらされるべきであり、いまこそ地域の生活者の声に政治は耳を傾けるべきです。政府のしごとは「国家を守る」ことでなく「市民を守る」ことです。

生活者ネットワークから、地域から平和の声と行動を国に突き付け、「私たちの平和構想・暴力のない世界」を次世代に送り届けます。

2月1日、市職員が見守り、市民らによる抗議デモが行われる中、陸自オスプレイが東京・立川市の立川飛行場に初飛来。写真:立川・生活者ネットワーク

 

 

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