すべてのゲノム編集食品の規制と表示を国に求める100万人署名運動を前へ!

すべてのゲノム編集食品の規制と表示を国に求める100万人署名運動を前へ!

遺伝子組み換え食品の登場から20年以上が経過した今、新たに「ゲノム操作(編集)食品」が登場していますが、食べものとしての安全性や環境影響など、まだまだわからないことばかりです。それにもかかわらず、日本政府はほとんどのゲノム操作(編集)食品を、安全性審査の対象外としようとしています。このままでは、規制のないまま表示もなしで、「ゲノム操作(編集)食品」が市場に出回ることになります。

生活者ネットワークは、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン/日本消費者連盟らと連帯し、100万人署名運動を開始しています。消費者の知る権利を保障するために、食の安全行政を維持・発展させるために、おおぜいの市民の参加を呼びかけます。
※署名用紙のダウンロードはこちら/第1次集約は2019年8月31日
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン

目次

ゲノム編集技術と食の安全

――天笠 啓祐さん(ジャーナリスト/遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン)に、聞きました

●国内外で、すでに広がっている食品への応用
ゲノム編集技術の応用が急速に進んでいます。作物や食品の分野では、すでに栽培され市場化されているものもあります。その先端にいるのが米国で、2015年からベンチャー企業のサイバス社が開発した除草剤耐性ナタネの栽培が始まり、2018年にはケイリクスト社が開発した高オレイン酸大豆が収穫され、流通を始めました。

ケイリクスト社は次に、高食物繊維小麦を2020年までに栽培する予定です。その他にもうどん粉病抵抗性小麦、高オレイン酸低リノール酸大豆などを開発しており、市場化を図っていく予定とのことです。同社以外にもトランス脂肪酸を含まない大豆、変色しないマッシュルーム、アクリルアミド低減ジャガイモ、干ばつ耐性トウモロコシ、収量増小麦などの開発が進んでいます。遺伝子組み換えでは反対が強まり挫折した小麦での開発が目立ちます。

日本でも農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が、「シンク能改変稲」を開発し、2017年度から5カ年計画で栽培試験を行っています。この稲は、籾数を増やし、収量増加をもたらすことになっています。世界的には作物だけでなく動物での開発も盛んです。

●ゲノム編集は、遺伝子の働きを壊す技術
ゲノム編集は、遺伝子の働きを壊す技術です。生命体はバランスや調和で成り立っています。体を大きくする遺伝子がある一方で、あまり大きくなり過ぎないように抑制する遺伝子があります。その一方の遺伝子を壊すと、さまざまなことができます。大きくなる遺伝子を壊すと、小さいままの動物が誕生しますが、中国ではすでにマイクロ豚がペットとして販売されています。逆に抑制する遺伝子を壊すと、成長が早く肉の多い魚や家畜が誕生します。これもすでに市場化が間近です。

出典:「私たちはモルモット?」日本消費者連盟

ゲノム編集により極めて簡単に特定の遺伝子を壊せることから、いまや遺伝子操作の主流になりつつあります。同じ遺伝子操作技術ですが、遺伝子組み換えは、他の生物の遺伝子を挿入して生命体を改造する技術であるのに対してゲノム編集は特定の遺伝子を壊して生命体を改造する技術です。壊した遺伝子の代わりに新たな遺伝子を挿入する組み換えも可能になっており、まもなくそのような作物や家畜が登場することになりそうです。

次々に開発されるゲノム編集生物をにらみ、日本では昨年7月から環境省が、9月からは厚労省が検討を進めてきました。きっかけは昨年6月15日に閣僚会議で決定した「統合イノベーション戦略」です。戦略の要の位置にある技術だとして、今年度中にゲノム編集を積極的に推進できるように法律や指針を整理しろと、政権が指令を発したのです。その結果、環境影響評価も食品の安全審査もほとんど必要ないという結論が出され、推進一辺倒になったのです。このままでは食品表示もされません。

●避けられないオフターゲット、モザイクーー安全と対極にあるゲノム編集技術
ゲノム編集技術は、遺伝子を壊す技術ですが、目的外の遺伝子を壊す「オフターゲット」が起きます。さらにはゲノム編集した細胞と通常の細胞が入り乱れる「モザイク」も起きます。とても安全とは言えない技術です。政府の結論は、私たち市民の健康よりも、技術開発や経済を優先してのことです。

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