2019 年「東京に暮らす女性たち」東京・生活者ネットワークジェンダー政策・自治体ランキング調査発表!

GDP世界第3位(2017年IMF)の日本ですが、政府が「女性活躍」を掲げているにもかかわらず、男女間の格差を表すジェンダーギャップ指数ランキングでは順位を下げ続けています(2012年101位、2017年114位)。また、今年になって、事務次官や自治体の首長らによるセクシュアル・ハラスメントや、医学部入試における女性差別など、日本の男女平等の遅れを露呈させるような事案が次々に明らかになっています。

記者会見をする左から西崎光子(司会:前都議会議員)、日向美砂子(小平市議会議員 ジェンダープロジェクト座長)、実川圭子(東大和市議会議員 女性部会部長)、皆川満寿美(中央学院大学准教授 プロジェクトアドバイザー)、山内玲子(都議会議員)。10月17日、東京都庁で

1975年の国際婦人年以降、国際的な取り組みの中で、日本でも、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パート労働法、男女共同参画社会基本法、DV防止法、女性活躍推進法など、男女平等のための法制度が獲得されましたが、いずれも実効性は弱く、家事・育児や介護に加えて仕事もと、日本の女性の負担は増すばかりであり、「女性活躍」の掛け声は空虚に響きます。

おりしも本年5月、「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(候補者男女均等法)が成立し、今後に向けて期待が高まっています。私たちは、こうした状況を目の前にして、改めて女性たちの声を聞き、政策にまとめるため、プロジェクトを設け、ヒヤリングなどの調査を実施しました。この度、その結果をもとに政策を発表しました。

20181017概要版

 

すべての政策をジェンダーの視点で見なおす

インタビュー結果をジェンダー視点で読み解いていくプロセスは、非常にエキサイティングなものでした。自分の生き方を肯定的にとらえているなかで、個人だけの問題でなく社会構造の問題を抽出していくことが政治のしごとだと再確認しました。

まずは子育て女性ですが、インタビューしたほとんどの女性が仕事をしており、これは20数年前に生活者ネットワークで子育ての調査をしたときとの大きな変化です。さらに「男性は仕事、女性は家事」という固定的性別役割分業から女性は家事と育児と仕事、という「新性別役割分業」の現状が見えてきました。この傾向は非正規雇用の女性のほうが強く、賃金の稼ぎ主と家事参画の度合いが連動している現状が見えます。

報告する日向美砂子(左)と実川圭子(右)

非正規単身女性については、主たる家計の担い手つまり夫がいる前提で設計されてきた非正規雇用の問題が如実に表れています。将来的には経済的な不安を抱えており、やはり賃金と社会保障の問題は大きいことがわかります。いまだに結婚することが前提の制度設計の社会を変えていく必要があります。

最後に高齢女性へのインタビューは本当に興味深いものでした。家事育児は女性の仕事と自負し一手に担ってきた人生を肯定しつつも、次の世代には、個人の自立や対応な関係性づくりをアドバイスする声が多く、私たちはこの思いに個人の生き方としてだけでなく社会制度の変革として応えていかなければいけないと痛感しました。政策はその体現です。

アドバイザーの皆川中央学院大学准教授からは、ジェンダーの視点を持った女性議員が増えれば社会が変わると力強いメッセージをいただきました。

 

男性稼ぎ主型モデルから両立支援型モデルへの転換

それぞれの分析と政策提言から大きく言えることは、雇用・労働、税制、社会保障制度を世帯単位から個人単位、大沢真理さんの言葉を借りていえば「男性稼ぎ主型モデルから両立支援型モデルへの転換」ということです。その制度変革を国政に求めながら、女性たちの声にこたえるために地域でできる政策も一つずつ積み上げていきます。

 

生活者ネットGEランキング、男女共同参画に関する自治体調査2018

女性活躍社会が自治体でどこまで実現しているか、内閣府男女共同参画局からの見える化マップなどを活用し、議員、管理職、審議会委員などの割合は公表されているランキングを参考に総合ランキングにまとめました。20181114 生活者ネットGEランキング訂正版

結果は 第1位豊島区、第2位 世田谷区、第3位 小金井市・日野市、第5位 目黒区、第6位 武蔵野市・小平市。(以下、一覧表参照)

20181114ランキング一覧表訂正版

 

 

調査項目については、生活者ネットワークが女性政策としてこれまで推進したものを中心に、その定着度や男女平等社会の実現には特に重要だ考える項目をピックアップしたものになっています。

女性の活躍、女性の働きやすい環境をつくるためには男性の働き方や家事や育児など生活時間を確保することが重要で、男性の育児休業取得を上げることは大きな意味があります。特に自治体が積極的に取り組む姿勢が大事です。国は2020年までに13%という目標を掲げていますが、多くの自治体が平均15%を超えていますが、残念ながら0人という自治体も5自治体(清瀬市、府中市、東村山市、羽村市、青梅市)がありました。具体的に育休を取るためには人員体制や給与保障など制度上の問題があることがわかりました。

 

都議会議員の山内玲子からは東京の女性たちの現状と課題についての報告と2019年にむけてのアピールを行いました。

 

今回の調査は生活者ネットワークの独自に調査した基準でのランキングです。項目を変えれば異なった結果になります。男女平等の取り組みは担当課や部署だけの問題にするのではなく、あらゆる事業をジェンダーの視点で見なおすことだと考えます。自治体がどのような姿勢で取り組むかによって差が出てきた、この傾向が見える化され、共有化できたことは大きな成果です。今後も生活者ネットワークは男女平等参画社会の実現に向け、ジェンダー平等政策を提案していきます。

 

 

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