正念場!2018年の幕開けに寄せて

正念場!2018年の幕開けに寄せて

 

新しい年を迎えました。

国政では安倍総理による政権運営が続き、いよいよ「改憲発議」が現実味を帯びて語られるようになりました。安倍政権下での改憲は、日本がさらに戦争ができる国へと突き進んでいくことを意味します。改憲を阻止し、安保法制・共謀罪の廃止を求めていかねばなりません。立憲主義の危機の認識のもと、憲法原則である基本的人権の尊重、民主主義、平和主義を地域から実践し、市民が自治する社会をこそつくっていかねばなりません。ーー2018年は、そのための“正念場”、戦いの年。

 

昨年11月、東京・生活者ネットワークは、科学ジャーナリストの天笠啓祐さんを迎えて、「種子を考える」学びの場を共有しました。そのなかで、「国内で遺伝子組み換え作物の栽培が行われていないのは、消費者が遺伝子組み換えはいらない、食べないという運動をしてきたから。私たち市民=消費者=が戦わないとダメ。あきらめることなく戦っていくことがものすごく大事」という示唆がありました。その後、関西電力が大飯原発1・2号機の廃炉を決めた報道(昨年12月22日)があり、あきらめずに「私(たち)は、原発はいらない!」と声を上げ続けることの大事さを改めて肝に銘じました。この3月11日には、未曾有の東日本大震災から7年目を迎えます。時を経るとともに、震災の記憶が薄れていくことは否めませんが、復興のまちづくりはこれからが“正念場”。福島原発事故に伴い避難生活を送る方々、放射線障害に悩む子どもや子育て家庭の問題は、なんら解決に至っていないことに、私たちは思いをいたさねばなりません。なにより福島原発でつくられた電気を使い続けていた首都圏に居住する私たちは、原発を止める責任を負っています。当時、全国に54基あった原発のうち廃炉に至ったのは今回の2基を含めて14基。溯る昨年12月13日には、広島の市民と松山の市民が原告団とともに戦い、勝ち取った伊方原発3号機の運転差し止め仮処分が決定(広島高裁)。これにならい、あきらめずに「私」発の運動を呼びかけ、広げていこうと思います。

 

東京都政に眼を転じると、小池都知事2年目の予算執行にむけて2018年度予算編成が進んでいます。この間の小池都政の取り組みで評価できることは、政策の決定過程を公開するなど都政の見える化を図ってきたこと。都政の「隠蔽体質」、例えば豊洲市場の盛り土問題について、事実と違う説明をし続けてきた幹部職員を処分し、事実関係を追求するなど、問題提起型の都政への転換を試みてきたことでした。しかし、個別課題をみると「公文書管理条例」や「子どもを受動喫煙から守る条例」を成立させるなどの成果がある一方で、「問題提起はよいが解決に至っていない」事案や「規定の路線を否定する手法は危うい」などの批判もあり、知事にとって“正念場”の年を迎えることになります。私たちのまち東京は、2020年には人口減少に転じ、2025年には3人に一人が65歳以上となる超少子高齢都市となります。インクルーシブ(包摂)を実現すべき政治理念に、待機児童問題の解決に加え、福祉・医療・介護の充実をこそ図らなければなりません。東京五輪・パラリンピック開催にまつわる問題では、開催経費の一部削減を果したものの、都外の仮設費用負担を巡る混乱に象徴されるように、今なお課題は山積しています。開催を根拠に、羽田空港増便・都心超低空飛行が計画されていることも、市民生活の安心・安全と対極にある東京問題の最たるものの一つではないでしょうか。貧困や格差の解消、ワークライフ・バランスを実体化できる働き方改革に加え、建設から半世紀を経て劣化が進む都市インフラの更新など、解決すべき都政の課題は枚挙に暇がありません。昨年の衆議院選挙において希望の党は惨敗し、都政に専念するとして代表を辞任した小池知事。「都民の視点に立って都政を改革する」と断言したからには、「メディア頼みの劇場型」に終止府を打ち、まっとうな都政運営や政策をこそ前へ進めてもらわねばなりません。

 

2017年夏の都議会議員選挙で、3議席あった市民の議席を1つに減らしてしまった私たちは、昨年、全地域で都議選総括を行い、東京・生活者ネットワークの“組織改編”を打ち出しました。具体的には、政策・調査、情報部門の強化、見える部分では、生活と政治をつなぐ情報紙 月刊『生活者通信』の紙面リニューアルなど多岐にわたります。ピンチはチャンスでもあります。参加と自治のある地域主権があたりまえのまちづくりをめざして、“変わる”ことを怖れず、“あきらめない”を合言葉に、多くのみなさまのお知恵をいただきながら、発展し続ける組織として、新たな一歩を踏み出す年にしたいと考えています。

 

2018年は、生活者ネットワークにとっても“正念場”の年。先の衆議院選挙で新たに立ち上がった立憲民主党は、これまで生活者ネットワークが主張してきたことと相共通する政策を訴えて戦い、勝ち抜きました。この結果を受けたその日から、来年の統一地方選挙が、さらには2021年の都議会議員選挙が始まりました。生活者ネットワークの強みは、「暮らしやすいまちにするために政治がある」と実感する市民をローカルから増やしてきたこと、「市民自治の実現」をめざすおおぜいの市民とともに歩んでいることです。その実態と実感を持って、決して埋没することなく、これまでに増してネットの市民政治を広げる活動を積んでいく所存です。統一地方選挙に先駆け2月には日野市議会議員選挙、町田市議会議員選挙があります。加えて首長選挙、それに伴い補欠選挙が行われる自治体もあります。暮らしに身近な地方議会に、真に市民がいつでも活用できるネットの議席を確保するチャンスととらえ、積極かつ果敢に取り組んでいきます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

2018年1月1日

東京・生活者ネットワーク

代表委員 西崎光子・大西由紀子・水谷 泉

 

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