子どもにやさしいまちづくり研究会:インドネシア・レニーロザリン副大臣を囲んで

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日本とインドネシアにおける「子どもにやさしいまち」づくりの進展に向けて 

 

4月2日、「日本とインドネシアにおける子どもにやさしいまちづくりの進展に向けて」をテーマに開催された研究と意見交換会で講演するインドネシア・レニーロザリン副大臣(会場:東洋大学白山キャンパス特別会議室)

4月2日、「日本とインドネシアにおける子どもにやさしいまちづくりの進展に向けて」をテーマに開催された研究と意見交換会で講演するインドネシア・レニーロザリン副大臣(会場:東洋大学白山キャンパス特別会議室)

4月2日、「日本とインドネシアにおける子どもにやさしいまちづくりの進展に向けて」をテーマに、「子どもにやさしいまちづくり研究会~インドネシア・レニーロザリン副大臣を囲んで~」が開催されました(会場:東洋大学白山キャンパス特別会議室)。

この会は、国連NGO:子どもの権利条約総合研究所(代表:荒牧重人山梨学院大学教授)が主催したもので(子どもの権利条例東京市民フォーラムや生活者ネットワークも賛同参加)、このたび、インドネシアで、「ユニセフが提唱する子どもにやさしいまち」を推進している中心的メンバーである女性エンパワメント・子ども保護省のレニー・N・ロザリン副大臣が、第4回「アジア子どもの権利フォーラム」の開催準備(2016年11月、インドネシア・バリ島で開催)、および「子どもにやさしいまち」づくりに取り組んでいる研究者との交流を目的として来日されていることを機に実現しました。

開会にあたり、まず荒牧重人代表から、今回、急きょ、レニー・ロザリン副大臣を囲んで、日本で子どもの権利実現に取り組んでいる専門家・自治体関係者らと検討する機会を設けることになった経緯が話され、続いて日本側の研究者・専門家から、国内における取り組み事例、評価と課題などが語られました。

日本体育大学准教授で、教鞭の一方で、現在世田谷区が実施している子どもの人権擁護機関:せたがやホッと子どもサポート委員(=子どもの人権オンブズパーソン)として活動されている半田勝久さんからは、世田谷の相談・救済機能とともに、川崎市子どもの権利条例を皮切りに、自治体から始める子どもの権利施策に係る取り組みの意義と、その進捗が。森田明美東洋大学教授は、かつて県レベルでしか策定されていなかった「子ども総合計画」が、現在では基礎自治体レベルで計画されるようになった経緯、子ども計画に盛り込むべき多岐に渡る内容、実施状況などについて。野村武司独協大学教授からは、多様な学び・教育を阻害するファクター、格差問題などを含めて、子どもの権利保障に係わる、日本弁護士連合会の果たして来た役割などが、また、刑法・少年法がご専門の佐々木光明神戸学院大学教授からは、日本の特に少年司法にかかる来し方や、改めて、少年司法に不可分の修復的司法の重要性などが語られました(同時通訳:平野裕二ARC主宰)。

 

インドネシア・レニーロザリン副大臣と。東京・生活者ネットワークから小松久子都議会議員(杉並区)が、子どもの権利条例東京市民フォーラムからは事務局メンバーらが参加

インドネシア・レニーロザリン副大臣と。東京・生活者ネットワークから小松久子都議会議員(杉並区)が、子どもの権利条例東京市民フォーラムからは事務局メンバーらが参加

続いてレニー・ロザリン副大臣が登壇。日本に先駆けること4年前に「子どもの権利条約」を批准したインドネシアでは、近年、「子どもにやさしいまち」を先頭に立って推進していた知事が大統領に就任しており、国をあげて「子どもにやさしいまち」に取り組んでいるさまが紹介されました。2006年から開始されている子どもにやさしいまち政策では、「5つのクラスターと10の優先課題」として具体化。すなわち①市民的権利と自由、②環境と代替的擁護、③基本保健と福祉、④教育・遊ぶ時間・文化的活動、⑤(障害児など)特別な保護、に基づき、例えば日本で後退している修復的司法の推進など、10の具体実現課題を掲げて、子どもの権利実現にまい進しているさまが、一方で300の民族・言語を持つといわれる国柄を背景に、依然25%の子どものが出生証明を持たないことを是正するための積極策とその進捗などが語られました。これらを実現に向けるための、国・地方政府・村落などあらゆるレベルで行われている「市民フォーラム」というしくみが機能しつつあることなど、インドネシアの、問題・課題を正面から見据える取り組みから学ぶことはたくさんあることがわかる会となりました。

 

★「アジア子どもの権利フォーラム」について

2009年韓国ソウルでの開催を皮切りに(2011年:日本、2014年:モンゴル)、11の国と地域からNGO/NPO、研究者らの参加で催される「アジア子どもの権利フォーラム」。国連子どもの権利条約を共通の理念に、すべての子どもが安全な環境の下、自らの力を発揮し成長していけるよう必要な支援や方法を探究し「子どもにふさわしい世界」「子どもにやさしいまち」づくりを創造していくために、始められた。第2回目:2011年11月の日本会議は、東日本大震災に直面し被災子どもたちが困難を極め、また原発事故が収束を見ない中で行われたこともあり、「危機的状況下における子どもの権利の実現」がテーマ。スマトラ沖地震、四川地震、タイの大洪水を始め災害が多発するアジア諸国からは、国家や社会から支援を受けられずにいる子どもの現状やNGOによる支援状況が、ベトナム、インド、中国からは子どものアイデアを防災や復興計画に活かしていく事例も報告。子どもが安心して相談することができるツールや人の確保、子どもの声を聴くことの重要さなどが共有された。

第4回「アジア子どもの権利フォーラム」は。本年・2016年11月、インドネシア・バリ島での開催が決定。インドネシア関係部局、NGO/NPOはもとより、アジア各地の関係者、日本では国連NGO子どもの権利条約総合研究所を中心に、準備活動が本格化している。

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