3.11大震災から5年、被災地の子ども・若者の声を聞こうー国会院内で意見交換会

東日本大震災から5年を前にした3月10日、第15回東日本大震災子ども支援意見交換会が開催されました(衆院第二議員会館会議室)。

P1420531この会は被災地で子どもの支援を続けるNPOや研究者らでつくる東日本大震災子ども支援ネットワーク(森田明美事務局長:東洋大学教授)が3.11大震災発災以降、継続開催してきたもので、被災地の関係者や市民、国の担当者(厚生労働省、文部科学省、内閣府、復興庁)、各党の国会議員(自民党、公明党、民主党、共産党、社民党)らの参加を得て、およそ120人の参加で開会されました。

震災から5年となる今回は、特にゲストスピーカーに被災3県から高校生や大学生を迎え、「5年間の子ども支援を子ども参加で検証する」ことが、大きなテーマとして設定されました。

開会にあたり、まず事務局長の森田明美さんから「発災から5年を経て、被災地では支援が届いた子と届いていない子どもとの間に格差が生じてきている。未だ支援が届いていない子どもたちの声をどうすくい上げ、どう支えていくのかが、政治や市民社会の大きな課題だ」との問題提起がありました。続いて、これまでにNPOや主催団体などからの支援を受けた子ども・若者たちがこれまでの経験、現在の思いや大人社会への要望、そして将来への希望や展望などを、それぞれの言葉で語りました。

P1430571誰もが集える子どもの居場所、軽食も提供する学習支援の場「岩手県山田町ゾンタハウス・おらーほ」からは、ちょうど入試日程で高校が休みにはいっていたことから、高1の女子4人が参加。2011年3月11日の困難な経験を経てたどりついた山田町ゾンタハウス、そこでの日々がどのようで、子どもたちにとってどのような居場所であったか、彼女たちが中学生だった昨年、山田町を元気にしたいと取り組んだ「山田のCMづくり」とその映像の上映、これから取り組もうとしている「高校生カフェ”Z00”」などについて語りました。

宮城県南三陸町出身で、現在、横浜市内の大学に通う、小野寺翔さん(19歳)P1430582 は、大学に通うなかで、周囲の学生や関東に居住する若者の大震災への無関心さにショックを受け、この日共に報告に立った被災県出身の仲間たちと共に、関東の若者を被災地に案内する活動「学生たちによる被災地スタディツアー」を始めたことを紹介。そのうえで、「震災の記憶を風化させないためにも、地元と被災地の外の若者とが連携して、3.11東日本大震災で何が起ったのか、人々がどのように大災害に立ち向かったのかなど震災の記憶を語り継いで行きたい。そのための環境整備を支援してほしい」と訴えました。

また、福島県いわき市からは、この春から大学生となる高3の女子が登壇。被災地の高校生として、大震災を外国の若者たちに伝える活動に参加した経験をきっかけに、学生の学生による学生のための留学支援や諸外国とつながるための活動「留学CAFE」を継続している様などを報告。

参加者らは、未曾有の大震災を経験してなお、自らの力を信じて立ち上がろうとしている、さらにはこれまで支えられてきた経験を活かして次の世代や地元の新しいまちづくりに貢献したいと切望している若者たちから勇気をもらうとともに、当事者・子どもであるからこその実感・実際に即した提案を受けて、政治を含む環境整備の不足や、大人社会が果たすべき次なる支援のありようについて考える場となりました。


P1430586子ども・若者の報告を受け関係省庁の担当者は、今年度予定されている被災地の子ども支援政策や、被災県を越えて行う子どもの貧困対策など子どもの成長・発達における支援格差の是正策などについて概説。引き続き、子ども・若者たちを巡る被災地や避難者のニーズを聞きながら、支援を続けたいと政策への理解を求めていました。

会を閉じるに当たり、事務局長で東洋大学の森田明美教授は、「震災から5年。復興支援は一つの山を越えたかに語られがちだ。しかし一つの節目ではあるが終わりではない。今日のように、子どもたちが自分の気持ちを話せるような場を幾重にも、そして日常的に提供できるような、子どもたちに届く支援の継続が必要だ」と結論しました。

子どもの権利条例東京市民フォーラムや生活者ネットも賛同参加する、東日本大震災子ども支援ネットワークでは、来る5月5日には、次なる支援に踏み出すための「子ども支援のこれまでと、これからを展望する声明」の発表を予定しています。

 

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次