どうなる?「要支援1・2」の訪問介護・通所介護―新たな介護保険制度について自治体行政に聞きました―

 

市民自身が主体的に高齢期の人生を考え、自分たちの暮らす地域の制度やサービスを市民の目で検証し、必要に応じて政府や自治体に政策提言を行う、「情報交換」、「議論」「エンパワメント」を目的としたイベント、25回目となった「NO!寝たきりデー2014」。昨年9月13日

 

東京・生活者ネットワークは、「NO!寝たきりデー」に、当初から賛同参加している。NO!寝たきりデー2014には、生活者ネットワークメンバーも多数参加した。講師の精神科医上野秀樹さん、主催団体「市民福祉サポートセンター」代表運営委員の石毛えい子さんを囲んで

20154月以降、「地域包括ケアシステムの構築」「負担の公平化」を主たる目的に、いよいよ新しい介護保険制度が開始しようとしています。

20146月に成立した「地域医療介護総合確保法」により、予防訪問介護・予防通所介護の地域支援事業への移行、一定以上の所得のある利用者の負担割合の引上げ、小規模の通所介護事業所等の指定権限の区市町村への移行などがそれです。

中でも、これまでの要支援12の方への訪問介護・通所介護が、新たな介護予防・日常生活支援総合事業へ移行することについては、身近な自治体が主体となり、地域の実情に応じたしくみとする意味で、方向性としては認めつつも、一方で、地域の社会資源が自治体により大きく差がある実情や、本当は支援が必要な高齢者にサービスが行き届かないことになりかねないなどを危惧せざるを得ません。

そこで、東京・生活者ネットワークは、「NPO法人アビリティクラブたすけあい(ACT)」、「仮認定NPO法人市民シンクタンクひと・まち社(ひと・まち社)」との共同調査として、「介護保険制度改正に伴う自治体調査」に取り組みました。

自治体への設問は、大きく、Ⅰ.現在の高齢者福祉施策と介護保険事業の現状と、Ⅱ.新たな総合事業に向けた準備状況についての2つの柱で構成しましたが、特にⅡについては、3年間の移行期間もあり、「未定」「検討中」との回答が多数を占めました。国からの詳細な情報提供がなかなか明確にされない2015年度からの制度改正への対応に加え、第6期介護保険事業計画の策定に向けた対応に追われている自治体行政の状況は理解するものの、サービス利用者やサービスを提供する事業者の不安を考えると、やはり、市民への情報提供・説明責任の姿勢に課題を感じるものとなりました。

 

東京・生活者ネットワーク2015政策発表集会で、「医療・介護」の政策「高齢になっても安心して自分らしく暮らし続けられる『地域包括ケア』のシステムをつくる」を発表。昨年10月25日

ここでは、とくに大きく転換が図られることになる<.新たな総合事業に向けた準備状況>に焦点化、別紙(初出:ネットが発行する『生活者通信No.283201541日号)』から)にまとめました。調査時期が20141012月だったため、自治体によってはその後、計画修正や新たに決まったことなどが明らかになっています(例えば、武蔵野市は、新しい総合事業への移行予定を今年10月に前倒しすることになりました)。

さらに、今回の調査(※)は、自治体比較というより、今後の方向を見出し、次につなげるためのものとして位置づけています。調査して終わりではなく、「介護の社会化」や「利用者の自己決定の権利」が後退しないよう、引き続き、生活者ネットワークは、この結果をもとに、今後の自治体の動きに注目しつつ、あるべき「地域包括ケア」のシステム構築に向け、課題指摘、制度提案を続けます。 

※今回の調査結果(設問ⅠⅡとも)と結果からの分析、全文については、東京・生活者ネットワークまでお問い合わせください。E-mail tokyo@seikatsusha.net

 

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