東京都「いじめ防止対策推進施策」(案)を公表―パブリックコメントを実施中! 

東京都「いじめ防止対策推進施策」(案)を公表―学校の取り組みを権利基盤型へと転換していくチャンスに!  

◆東京都いじめ防止対策推進施策に対する、パブリックコメントに、皆さんのご意見を届けてください!

424日、東京都教育庁は、東京都におけるいじめ防止対策推進施策として「東京都いじめ防止対策推進基本方針(案)」及び「東京都教育委員会いじめ総合対策(案)」を取りまとめ、公表しました。国の「いじめ防止対策推進法」(2013年6月成立:同年9月施行)や国が策定した「いじめ防止等のための基本的な方針」(同年10月)を踏まえたもので、近年、大きな問題となっている子どものいじめ問題について、広く都民の意見募集を経てのち方針化、都条例策定へと進める構えです。

日本が世界に約束しその完全実施を求められている、国連「子どもの権利条約」を遵守し、子どもの最善の利益を保障するために、来る都のいじめ防止条例が、対策的であったり、学校厳罰化に至るようなことがあってはなりません。東京都から、基礎自治体から子どもの育ち支援を権利基盤型へと転換するために、東京・生活者ネットワークは、来る第2回定例都議会の場で発言を続けます。 

*東京都いじめ防止対策への意見募集の概要は以下からご覧ください。http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/2014/pr140424b.htm

*募集期間:2014年4月24日(木)~523日(金) *方法等:電子メール、ファクシミリ又は郵送のいずれか    *提出先:東京都教育庁指導部指導企画課  

◆厳罰化でいじめはなくならない―急がれる学校での子どもの権利条約の実施!

そして、残念ですが学齢期の子どもたちが家庭から離れて一日の大半を過ごす学校現場での「子どもの権利条約」の実施には疑問符がつく状況にあることも否めません。これまでの学校は非常に閉鎖的で、自治体(行政)や地域の市民との関わりをなかなか持ち得ないできたことも事実です。結果、子どもたちの権利侵害状況は切迫し、先生たちは疲れきっています。「だからこそ、学校に子どもの権利条約の入る余地がある。学校が抱えているいじめ問題を解決していく視点がある」と、教育法学の専門家・喜多明人早稲田大学教授は論じています。

ところが、昨年6月「いじめ防止対策推進法」が成立。この問題に国が直接関与するような事態に立ち至ってしまいました。そして、差し迫った問題として見過ごせないのが東京都のいじめ防止対策です。昨年6月、都教委が公表した「生活指導

子どもの権利条約批准20周年・批准記念日の集い。4月22日、参議院議員会館で

統一基準」によると、いじめ対策として「法令に基づいた懲戒の発出と改善の指導を行うための指針」が示されており、問題は「威圧行動」「いじめ」などの行為には、「停学」「退学」をもって基準とするとしている点。翻って国の対策法は、主に中学生を対象に「出席停止」の枠の中で論じられてきたのですが、東京都の場合、◆すでに法の議論をも跳び超えてしまっている◆しかも「覚せい剤」「シンナー」など薬物使用と「いじめ」を同列視している――点に注意が必要です。いじめを犯罪視して取り締まることでいじめはなくなるはずだという「学校厳罰主義」が根底にある都教委の現実に照らせば、来る「東京都いじめ防止条例」(6月上程)に疑念を持たざるを得ず、子どもの権利条例と真逆の条例となるようなことがあってはなりません。

こうした状況に、研究者らが作成・緊急提言したのが「学校いじめ防止対策基本方針作成のための14のチェックポイント」(国民教育文化総合研究所)で、それでも少なからず子どもの権利の視点が盛り込まれた国のいじめ防止基本方針を、むしろ道具としながら、学校の取り組みを厳罰化から権利基盤型へと転換していく――そのためのチェックポイントを14項にまとめ、広く自治体や教育行政、この4月から各学校がつくるいじめ防止対策基本方針への活用を求めています。このチェックポイントが東京都や地方教育行政の場で活かされ、開かれた学校のもと、子どもの最善の利益を第一義に、特に権利の主体である子ども・市民参加でいじめ防止にむかうことができるよう、働きかけていきましょう。

《学校におけるいじめの防止等のための基本方針作成時の14のチェックポイント》提言:国民教育文化総合研究所

◆基本方針の作成のしかた ①国や自治体が示した基本方針を、そもまま引き写していないか。学校の主体的な取り組みの成果が反映されているか。②基本方針を作成する際に、子どもをはじめ保護者、地域住民の校が十分に反映されているか。

◆いじめ防止対策の基本理念 ③いじめ根絶的な対策が残されていないか。いじめを効果的に発見し、これをエスカレートさせない、という方針が貫かれているか。④教職員、保護者、住民、国や教育行政機関などおとな側からの対策だけでなく、子どもの意見を反映したり、子ども自身もいじめ問題の解決主体として位置づけ、子どもたちの取り組みを支援しているか。⑤いじめ防止対策として、人権教育、権利学習が十分に位置づけられているか。

◆いじめ防止対策の具体化 ⑥いじめ防止の具体策として組織的な解決の促進を図っているか。特に「定期的な調査」や「通報」が、形式的・機械的になっていないか。⑦子どもが、学校生活の中でいつでも、どこでも安心して相談できるよう、学校内の組織体制にスクールカンウンセラーやスクールソーシャルワーカー、地域の人やNPO・弁護士・医者などの参加を得ているか。⑧いじめを受けた子どもに寄り添う体制ができているか。いじめの背景に目を向け、いじめた子どもの人格の発達に配慮しているか。⑨いじめ対策が、「いじめは絶対に許されない」「いじめは卑怯な行為である」というような道徳・規範教育や、違反者への厳罰に傾いていないか。⑩子どもが校内においても緊急避難できるように、学校以外の公的な機関、地域、民間団体・子どもNPOなどのとの連携が進められているか。

◆重大事態への対応 ⑪自死など重大事態の発生に対し、被害者家族との信頼関係の確保・意思疎通・情報交換・再発防止のための原因究明の調査などへの協力と連携など、措置が方針化されているか。⑫重大事態の発生に際し、学校や教育委員会は、再発防止のための調査機関として、第三者性のある委員会の設置をはかることなどが想定されているか。

◆いじめ対策を支える法制度・条件整備 ⑬財政措置、人的・物的な条件整備への配慮(行政への要請など)が含まれているか。⑭救済、防止の視点が貫かれているか。子どもの権利条例や子どもの権利条約の地域・学校での実現など、子どもの権利侵害の全体が視野に入っているか。 

*国民教育文化総合研究所のウェブサイトはこちら⇒http://www.kyoiku-soken.org/official/top/

 

 

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