若者を中心とした働き方を考える

厳しい経済状況が続く中、企業は人件費の削減するため、非正規雇用を拡大しています。以前は主たる働き手がいて、それを補完する働き方として主に女性の働き方でしたが、リーマンショック後は急激に男性や若者にひろがり、2011年の総務省の労働調査では全雇用者に占める非正規社員の割合が35.2%と過去最高となりました。年収200万円以下の人が2009年には1000万人を超えるなど『ワーキングプア』と言った社会問題として取り上げられ、現在も格差は拡がりを増すばかりです。個人の努力だけでは抜け出せないだけでなく、働き方が貧困につながっていくことが問題です。

特に次世代を担う若者の雇用が厳しい状況にあることから、コミュニティビジネスから“食べていける”若者の働き方を考えてみようと、1月11日古市盛久さん(株式会社 御用聞き 代表取締役)をお呼びして、学習会を開催しました。 

古市さんは現在33歳。2010年8月から練馬区にある光が丘団地のゆりの木商店街で約2000人に御用聞き100円家事代行サービス(5分で100円)を提供しています。事業のコンセプトは『会話で世の中を豊かにする』 リピート率80%。時給850円でソーシャルビジネスを展開しています。インターネットがこれほど普及しているにもかかわらず5~10年後にはアナログに戻るといわれています。古市さんのところでアルバイトとして働いた若者(大学生)が家事代行の仕事から戻ってきたとき、行った先で体験したことを感激して話すそうです。「働く実感が持てない」「何のために働くのかわからない」といった若者の声を聞きますが、この家事代行のアルバイトから「働くこと」の実感を得ることで自分の存在意義を見いだしたり、お金ではない何かを得る機会になっていることは確かだと思いました。なにより、現場で自分が考え、処理しなければならないわけですから責任にもつながります。そもそも、この事業は古市さん自身が家事代行サービスのあとに、利用者が涙を流してお礼をいってくれたことで会社の存在意義をみつけたことから始まっています。地域に根ざして必要な仕事をつくりだしている若者への支援が求められます。また、地方自治体が若者の就労に対してさまざまな支援をすすめています。

生活者ネットワークでは、2006年「若者世代アンケート調査」「コミュニティワーク・アンケート調査」など行い、「新しい働き方」について提案してきました。

2013年の新成人は122万人と若年層の人口は減少し続けています。高齢者施策だけでなく、若者施策も同時にすすめていかなければなりません。若者の力を信じ、希望をもって働き、生活できる社会をつくるために、日常生活能力の習得、経済的支援、相談体制の充実、就労支援など、自立につながるような施策を提案していきます。

 

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