2013年 新しい年を迎えて

 今年、東日本大震災と東京電力・福島第一発電所の原発事故から2年目を迎えます。被災地ではいまだ故郷を遠く離れて大勢の方が、不自由な生活を余儀なくされており、未来を担う子どもたちを放射能被曝の不安から守り、遊びや学習の場を保障することさえできていません。3・11を経て、もはや人智で原発を制御できないことが明らかになっているにもかかわらず、安倍首相は昨年末「2030年代の原発稼働ゼロ」を白紙に戻すと明言しました。情報公開制度で白日の下にさらされたのは利権にまみれた原子力発電事業。「エネルギーの安定供給」を口実に原発維持にむかうことは何としても阻止しなければなりません。維新の会の台頭と安倍首相の唱える「歴史の見直し」「「憲法改正」「国防軍創設」などの右傾化には多くの国民は危惧を抱いています。総選挙での自民党の圧勝は民主前政権に対するNO!であり、小選挙区制によってもたらされたものだということを真摯に受け止め、格差社会の進行に歯止めをかけ、少子高齢社会への対応、社会保障と税の一体改革などに着実に取り組むことを切に願うものです。 

 総選挙と同日に行われた都知事選では新銀行東京の後始末やオリンピック招致の失敗、汚染された豊洲への市場移転などの都政の課題が争点化されず、前知事の後継者を自任する猪瀬都知事が誕生。オリンピック招致運動などが華々しく打ち上げられています。東京の高齢化は急速に進み、高齢単身者、夫婦のみの世帯が増加しています。医療・福祉・介護・住宅政策等の見直しが喫緊の課題です。つながりが希薄な大都市東京を、誰をも排除しない生活のまち、持続可能なまち、市民の知恵と力を生かすまちにしていきたいと思います。7月には都議会議員選挙が行われます。東京・生活者ネットワークは3人の現職都議会議員、西崎光子(世田谷区)、星ひろ子(昭島市)、山内れい子(国分寺・国立)に加え、新人の奈須りえ(大田区、区議会議員)、小松久子(杉並区、区議会議員)、やない克子(練馬区・東京・生活者ネットワーク政策委員)を擁立し闘います。

 哲学者の内山節さんは「世界は曲がり角に立っている。今までの仕組みでは持たなくなっている。この社会を作り直すしかない。5%でもよい。小さなコミュニティから新しい社会の姿を作り上げていくことが大事」と提言しています。「暮らしを見直す」「人々とつながる」「地域に必要な機能を市民自らが作り出す」など、市民自治を拡大することが必要です。

 この国の行方に不安を抱いたまま迎えた2013年。私たちは暮らしを投げ出すことなく、子どもたちに少しでも確かな未来を手渡さなくてはなりません。「『原発』都民投票」を通して広がった市民の政治への関心は押さえつけることはできないし、自分の意思を表明しようと官邸前に集まる市民をとどめることはできません。参加と自治の政治に向けて市民の大きなうねりがあります。 

2013年を希望を持てる年にするために、市民とともに地域に根ざした運動を着実にすすめていきます。

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