排除しない社会へ―社会的事業所促進法を制定する力に!

基調講演のあと、宮本太郎さんと湯浅誠さんの対談が共同連事務局長の斎藤懸三さんのコーディネートで行われた

9月1~2日、第29回共同連全国大会東京大会「『社会的事業所促進法』実現へ! 社会的に排除された人々と共に働く場を」が、立教大学池袋キャンパスを会場に開催された。主催団体である、1984年設立の「NPO法人共同連」は、障がいがある人もそうでない人も共に働き共に経済的に自立する、一般就労ではないもう一つの働き方「社会的事業所」づくりを実践しながら、その法制化をめざしてきた先駆的市民活動だ。

基調講演に立ったのは宮本太郎北海道大学教授。今、始まっている厚労省社保審「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」で会長を務める宮本さんのこの日のテーマは「生活保障―排除しない社会へ」。
現在、20~64歳までの単身女性の32%と、19歳以下の子どものいる母子世帯の48%が相対的貧困にあり、さらに、所得で生活保護基準を下回る世帯が597万世帯、生活保護者数は205万人、完全失業者数334万人、気分障害(うつ病など)の患者数104万人……と続く。いまや、誰もが「普通」の生活者から脱落するリスクを抱えている。何かのきっかけで生活が立ち行かなくなるかもしれないリスク社会に私たちは生きている。けっして他人ごとではない、いわば「弱者99%社会」が到来したのだと宮本さんは説く。これまでの日本の生活保障では対応できないのだから、新しい生活保障=「弱者99%社会」に対応する全世代型社会保障の構築は待ったなしだ。しかし、政治は生活保護1割削減を臆面もなく打ち出すなど、すでに深刻な状況に陥っている日本社会の現状に追いついていないどころか、機能不全に陥っている。
経済格差が広がり、障がい者、ひきこもり、ニート、シングルマザー、ホームレス、アルコール・薬物依存症者、生活保護受給者などの、社会的に不利な問題を抱えている人の就労は困難な状態に置かれたまま、さらに、ワーキングプアといった貧困層、仕事に就けない層が固定化され、広がっている。

イタリアには、障がいのある人もない人も共に働く「社会的協同組合」が制度化(1991年)されており、労働を生活者の基本的権利として位置づけている。特筆されるのは、“障がい”の概念が日本よりもはるかに広く、職に就けない若年層から高齢者まで、また、薬物やアルコール依存症、刑余者、移民など、社会的に排除されている人を対象としていること、「排除から包摂へ」を社会ルールとしている点である。また、隣国である韓国では、「社会的企業育成法」が2007年に成立。障がいのある人を含む脆弱階層を包摂しながら、かつ賃金に差をつけない新しい共に働く労働の場が各地に、飛躍的に広がりを見せている。
このように、ヨーロッパや韓国では、社会的に排除された人の働く場として、日本で私たちが求めてきた、福祉的労働とは一線を画する「社会的事業所」が、現に実践されている。

東京・生活者ネットワークは、社会的に排除される人を生まない社会、誰もが社会の構成員として参加し、働く機会が保障される社会をめざして活動を進めてきた。2003年には、イタリア・ローマから社会的協同組合B型連合会のマロッタ理事長を都庁に招き、また今回の共同連大会にあたっては、プレイベントとして共同連が招へいの韓国の社会的企業「SRセンター」理事長イ・ドンヒョンさんと東京都産業労働局との対話の場を設けるなどの機会を見出してきた。国内でも、早期に共に働く「社会的事業所促進法」法制化を求めるとともに、滋賀県条例に見られるように、東京都や基礎自治体から、共に働く社会的事業所づくりを実体化する条例づくりを進めていく構えだ。

座談会「共生・共働の日本型社会的企業~社会的に排除されている人が働く社会的事業所~をめぐって」