都議会本会議討論から

「原発のある社会」を選ぶのか、「原発のない社会」を選ぶのか

討論する都議の西崎光子。
討論する都議の西崎光子。
6月5日から20日まで第2回定例都議会が開催されました。この議会には「東京電力管内の原子力発電所の稼働に関する東京都民投票条例」が知事による反対意見がつけられ、議案としてかけられました。

5月10日、「原発の是非を問う都民投票条例」を求める直接請求は、法定署名数を超える32万筆余の署名を持って、請求代表者から知事に提出されました。実際の署名期間は昨年の12月9日から2月9日までの冬の厳しい寒さの中で、2カ月間に集められたものです。

この議案を審議することになった総務委員会は、6月13日から始まり、14日、15日、18日とわずか4回で、32万都民の声を真摯に受け止めたとは到底言えません。
14日の請求代表者8人による意見陳述では、これまで署名活動などには全く無縁だった個人が、3.11の原発事故を目の当たりにして、直接請求の活動に関わることを自分で考え、さらに署名してくれたひとの声を代弁して「直接請求の署名活動は、名前、住所のみならず、生年月日、拇印まで求める厳しいルールがあり、街頭で会った初対面の人に、そこまで個人情報を晒すということには大きな抵抗がある人がどれだけ多くいたことか、にもかかわらす、今回法定署名数を優に超える署名を集める事が出来たということがどれだけ意味のあることか、考えてください」と訴えました。意見陳述は40分行われたものの、請求代表者に対する質問は認められず、議員同士のやり取りもなく、議会における議論とは??? 連日委員会の傍聴席をいっぱいにした傍聴者に都議会のこのようなあり方はどう映ったのでしょうか。
18日の委員会採決では民主・ネット共同提案の修正案は7対7の同数。最後に委員長裁決で否決され、20日の本会議では原案のみの採決となり、賛成41、反対82(議長を除く)で否決という結果になりました。
「原発」を含むエネルギー政策は国が決めるものと条例案に反対する知事や議員の意見ですが、万が一のときの責任については言及していません。未来永劫、原発に対してはだれも責任が取れないといっても過言ではありません。
20日本会議最終日、生活者ネットワーク都議会議員の西崎光子は次のように討論しました。(抜粋)
「知事は、尖閣諸島の問題は国がやらないから都が購入するのだと言っています。しかし都民にとっては原発の稼働こそが、生命にかかわる重要な課題であり、都からの発信が必要です。
また立地地域の諸事情を考慮すべきとも言っておられますが、もともと立地地域では、国の押し付けと一部の推進派によって原発が建設されてきました。そして原発マネーは、立地地域にとってなくてはならないものになっていき、麻薬のように原発依存を強めてきたといわれています。原発事故は、科学技術の進歩や経済成長が、必ずしも人間を幸福にしないことを示しており、本当に大切なことを、真の復興を考えていかなければなりません。
立地地域が必要としているのは原発ではなく、働く場であり、地域の産業であり、自治体の収入なのです。立地地域に新たな産業を生み出すための協力はおおいにしていくべきであり、大消費地である東京は、立地地域とともに共通課題としてこの問題に取り組んでいかなくてはなりません。
また、専門家の知見を聞くべきという意見についても、専門家と称する人々に頼ってきた結果が、昨年の事故をまねき、未だ収束しない状況になっています。
無関心に電力を享受してきた責任を自覚し、今後のエネルギー政策を自分たちで考えたいという都民の意思を重く受け止め、やれない理由をあれこれ述べていくのではなく、前向きに市民を信じて、民主主義を成熟させるためにも、都民投票条例が必要であると考えます。(中抜け)
知事は、所信表明で『我々がどの程度の経済成長を目指し、そのために、いかなるエネルギーを、どれだけ確保していくのか、大きなシミュレーションを行うことだ』と言っていますが、環境問題においては、もはや積み上げ方式の考え方では解決できません。多くの人が、3.11以前と以後で『時代が変わった』と感じています。今こそ、必要な将来像を描き、それに向けてロードマップをつくる手法が求められています。つまり、『原発のある社会』を選ぶのか、『原発のない社会』を選ぶのかを出発点にして、これからの都政運営にのぞむべき」と知事に迫っています。このとき、ほぼ満員の傍聴席から拍手が起こりました。反対議員への抵抗だったのかもしれません。
今回、都民投票が実現していれば、「東京を変える」大きな一歩になったはずです。同時に「都議会が変わる」ことにもつながったと思います。住民投票「否決」という結果に終わりましたが、「大事なことは市民が決める」を掲げ、2013年の都議会議員選挙には都民の意思を受け止められる議会に変えていきます。
 

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