韓国の農村の住民自治

先月、「日韓市民社会フォーラム」が韓国の鎮安郡で開催され、東京ネットから5人が参加した。今回は食と農をテーマに、農村地域を訪ね日本と共通する課題に対する市民の取り組みを聞き交流した。
 
鎮安郡は、ソウルからバスで3時間ほどの全羅北道南東部にある山間部。ソウルの1.3倍の面積で、中心地の1邑と10の里からなり、人口27000人、高齢化と過疎の農村地帯。日本からのメンバー26人に加え韓国のNGOのメンバーも加わり、「農村集落と公共事業、産直」、「農村集落と帰農帰村、農村創業」「農村集落と有機農業、伝統文化」の3グループにわかれバスでそれぞれの集落に向かった。
 
私が参加した「農村集落と公共事業、産直」は、竜譚面臥竜里の20世帯の集落。住民自治組織の方々が迎え入れ、都市からの農村体験者を受け入れるためにつくられたゲストハウスに泊った。
10年前のダム建設で住民が転出し、人口が1/10に激減。代わりに移住団地造成により現代式住宅と交通網が整備された。耕地面積の縮小、高齢化による労働力減なと問題解決のために、行政の支援によって住民自治組織がつくられ、集落開発計画図を作成した。高麗人参、しいたけ、えごまなど高収益の有機農業に切り替え、地産地工により高齢者の労働力を活用するなど住民の働き口を創出。集落全体に収益が分配されるような仕組みを作った。

ソウルに人口が集中し失業者、非正規雇用が増えるなどの問題や、安い輸入農産物に押され苦しい農業を何とか再生しようと自治体をあげての持続可能な農業を工夫している。生き生きと自信を持って話す自治組織の委員長だったが、帰農帰村の促進には収益をあげえなくてはとのことで、もう少し時間がかかりそうだ。  事務局長 中村映子

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