オリンピック招致 是か?非か?

オリンピックより福祉・医療・子育て・教育の充実を

 都議選も真っ只中の7月8日、 神奈川県の私立S高校の2年生、 男女6人の訪問を受けた。 S高校では生徒自身が現代社会の問題から関心あるテーマを絞り、 班単位で調査、 フィールドワークを行い、 賛成派・反対派でディベートを行うという特別教育活動を行っている。 来訪のグループは 「オリンピック招致の是非」 をテーマとし、 反対派として、 広く社会に問題提起してきた東京・生活者ネットワークを選んだ。
 
 「2016年オリンピックを東京に!」 という石原都知事の公約実現のため、 2006年9月から動き出したオリンピック招致推進活動の成否は、 この10月に明らかになる。 招致推進活動は3年間で総額150億円が予定されており、 東京都はそのうちの100億円を負担する。 残り50億円は招致委員会 (NPO法人) が民間から寄付を集め、 スポーツ選手や芸能人を起用したアピールが繰り広げられた。
 
 区市町村にもオリンピックムーブメント推進事業に対し、 1自治体1000万円までの補助金が2年間交付され、 すでに総額6億円を超えている。 商店街などにはためくフラッグに、 3.2億円もが計上されたというから、 笑止どころか憤懣に耐えない。
 
 万が一、 正式に開催都市に決定すれば、 競技施設などの新設・改築を含めた競技施設全体の整備費は2918億円。 高速道路や地下鉄などの輸送インフラ整備にさらに1兆2595億円がかかるとの試算だ。
 
 景気の悪化で仕事や住まいを失う人々が増え、 ネットカフェ難民や年越し派遣村で明らかになった脆弱な社会基盤。 今本当に必要なのは、 一過性の熱に浮かされたようなイベントやそれを理由に行うハコモノづくりではなく、 いのちと暮らしが守られ、 人権が保障される社会政策への転換だと生活者ネットは考える。
 
 子どもたちの保育の質が保障され、 親が安心して働くことができる保育所の整備や、 親の経済状況や自治体間格差が教育格差を生み出している現状を解消するための都立高校の授業料無料化、 福祉・医療・介護の連携で、 誰もが住み慣れた地域で、 自立して暮らすことのできるしくみづくりなど、 都民の生活の安心・安全を実現するためにこそ、 税金を使うべきではないか。
 
 生活者ネットが各地で行ったオリンピック招致の是非を問うアンケート。 「もしあなたが都知事なら4000億円のオリンピック基金をどう使う?」 との問いに、 「子育て・福祉」 85.5%、 「東京オリンピック招致」 11%という結果が出ている。
 
 午後からは東京オリンピック招致委員会を訪問した高校生たち。 まちづくりの主体として、 自分で考え、 みなで調査・研究・議論し、 発信していく若者の成長を応援したい。

東京・生活者ネットワーク代表委員/狛江・生活者ネットワーク前市議会議員 池座俊子

写真左:オリンピックに関して街頭アンケートする、生活者ネット都議会議員候補者の中井八千代。練馬区にて
写真右:7月8日、S校生からヒヤリングを受ける代表委員の池座俊子

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