公立病院改革へ東京都の支援を

市町村公立病院運営費補助見直し協議、始まる

小泉政権がもたらした聖域なき歳出削減は、福祉医療費5年間で1.1兆円といわれ、その影響は医療現場にさまざまな混乱をもたらしている。

「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の施行にともない、地方公共団体が経営する病院事業も健全経営が厳しく求められている。昨年12月に東京都が発表した「公立病院改革ガイドライン」では、公立病院の果たすべき役割の明確化と現実に果たしている機能を厳しく精査し、廃止・統合をすすめるとしている。しかし、公立病院に対する市民の期待は大きく、身近な診療機関というだけでなく、民間では果たしえない不採算部門に対応しているため、自治体を越えて患者が集まってくる。

公益的役割を担っている公立病院の経営には、毎年市町村の一般会計からの繰り入れを余儀なくされているのが現状で、また、三位一体改革の中で救命救急センターの経営や医療施設整備への国庫補助金は税源委譲されているものの、その積算は極めて圧縮されている。三多摩、島しょの公立病院は10カ所、そのどこをみても厳しい状況は変わらない。

東京都は運営事業に対して、病床数×1,220,000円に、06年からは経営評価指数(いわゆる回転率)をかける補助費を出しているが、医師、看護師不足でその回転率は上がらず、救急医療、癌診療、小児医療など特殊診療部門に対しての配慮はあるものの、まだまだ不十分である。現在、09年度にむけて「市町村公立病院運営費補助見直し協議」が進行中であり、その行方が注目される。

公立病院も厳しい経営状況の中で自ら改革をすすめている。たとえば、市民ニーズに応えようと町田市民病院では周産期医療センターの開設にむけて準備中であり、市民との連携による新たな病院経営を模索している。稲城市立病院では「病気を診る病院」から「病気にさせない病院」をめざし、敷地内に健康施設を建設。次代の公立病院経営に取り組む計画である。東京都は一律補助だけではなく、地域事情に合った公立病院経営が活発に展開できるよう、こうした先進的取り組みにこそ支援の道を開いていくべきではないか。

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