止めよう! 八ッ場(やんば)ダム

予定地の住民を支える「生活再建支援法」制定を!

 都市の成長を前提とした水需要や、 発電が本当に必要か。 無駄な公共事業の代名詞・ダム工事への根拠はあらゆる意味で、 すでに崩れている。 2001年、 長野県知事に就任した田中康夫さんによる「脱ダム宣言」から約10年が経過し、 地元知事の強い反対の意向を受けて、 国土交通省は熊本県の川辺川ダムを見直し、 淀川上流に計画された大戸川ダムの凍結を余儀なくされている。

 2月28日開催の 「見直そう!八ッ場ダム つくろう!生活支援法」 には、 会場に入りきれない人が出るほどの参加者があり熱気溢れる集会となった。 首都圏の水問題である八ッ場ダム (群馬県長野原町) 問題に取り組む市民の運動団体 「八ッ場あしたの会」 と、 65人の東京・千葉・埼玉・群馬・栃木・茨城の都県議員で構成される 「八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会」 との共催によるこの集会には、 民主党の大河原雅子さん、 共産党・塩川鉄也さん、 社民党・保坂展人さんの各国会議員も駆けつけ、 国会への提出を予定している 「生活再建支援法」 制定への取り組みについて報告があった。

 生活支援への取り組みを歓迎し、 謝意を示す地元の方からの発言は、 八ッ場ダム建設に翻弄され続けてきた長い苦難の歴史を語って余りある。 1924年に策定された利根川改修改定計画の中に位置づけられ、 1080年突然通告されたダム建設、 1986年基本計画が告示されてから2001年、 2004年と二度の変更が行われている。 代替地の問題も未解決で、 住民の日々の生活は不安に満ちている。

 首都圏は工業用水は70年代から、 水道用水も90年代から横ばいで、 人口が増え続けても一人当たりの給水量は減少傾向にある。 都議会生活者ネットワークは、 過剰な水需要予測に対して何度も都に説明を求めているが、 未だに明確な答弁は聞くことができない。 事業費は4600億円、 水没関係者支援のための 「水源地域対策特別措置法」、 恩恵を受ける下流受益地の相応の負担を義務づけた 「利根川・荒川水源地域対策基金」 への負担、 これに起債の利息を合わせると9000億円近くになる。 この金額を1都5県、 国、 地元および受益者で負担することになり、 東京都の負担は1274億円と予想される。 事業の有効性の説明責任が果たせない中での税金の投入は、 納得できるものではない。

 巨額な建設費と維持費、 施設の更新、 取り返しのつかない環境破壊をもたらし、 そこに住む人たちの生活を破壊し地域のつながりまで分断してしまうダム建設に批判の声が高まっている。 これまでの治水・利水のあり方を根本から見直し、 改める作業を開始し、 自然との共生を可能にする持続可能な道へと転換をはかるべきだ。

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