次世代育成支援・後期計画に子ども支援の視点を!

 国連子どもの権利条約が締結されてから来年で20年を迎える。東京・生活者ネットワークも呼びかけ人として参加する子どもの権利条例東京市民フォーラム(代表:喜多明人早稲田大学教授)は、10月4日、第8回の集いを開催。次世代育成支援・後期計画と子ども条例をテーマに、子どもの権利の日本国内での実現をめざし活動するさまざまな市民団体、若者・学生、研究者、行政関係者、自治体議会議員など120人が参加。日頃の実践、課題を共有した(会場:東洋大学白山校舎)。

 少子化対策の一環として成立した次世代育成支援対策推進法(2003年7月)に基づき、全国の自治体及び事業者に策定と実施が義務付けられた次世代育成支援行動計画。前期計画(05〜09年)では、子ども支援の必要性についての認識は薄いといわざるを得ない。2010年からの後期計画では、子どもを権利の主体者として尊重し、子どもの権利実現を図るための総合的な施策決定の場とすることが重要であるという認識に立ち、子ども条例を整備している調布市、世田谷区から報告を受けた。
〔写真右上〕パネルディスカッションの様子
〔写真右下〕世田谷区選出の都議会議員・西崎光子

 世田谷区子ども家庭課長山崎廣孝さんは、子どもに関する区の施策の総合的、計画的推進が示された子ども条例の基本方針に基づき、前期計画で「元気子ども」をキーワードに、すべての子どもや子育て家庭を対象とする施策と、障がいや虐待などで支援を必要とする子ども・家庭への切れ目のない支援と緊急対応が計画に体系化されたことを報告。調布市児童青少年課長大島振一郎さんからは子ども自身をエンパワーするために、CAPS(調布市青少年ステーション)で実践している運営への子ども参加について報告があった。子ども参加のすすめ方の難しさについての会場からの質問に、おとなの側が子どもたちの中にはいり、子どもたちの意見を聞きおくだけにせず、市側の回答を必ず次の週に出すことや、できることは実現し、子どもの信頼を得ることが大事との実践報告があった。

 森田明美さん(東洋大学教授)からは後期計画策定にあたって、子ども支援のポイントは子どもが元気になること、子どもが何をしたいのか、何ができるのか、子ども側に主導権を渡すことであり、ゴールは子どももおとなも支えあって地域社会をつくることだとのメッセージがあった。

 特別報告として子どものためのシェルター(一時避難所)「カリヨン子どもの家」のビデオ上映と活動報告が行われた。
〔写真左下:一場順子弁護士からの報告〕

 市民と行政がそれぞれに悩みも出し合い、真摯に話し合うことができ、参加者それぞれが日ごろの活動を振り返り、新たなエネルギーを分かちあうことができた。

東京・生活者ネットワーク代表委員 池座俊子

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