プラスチック焼却で、温暖化ガス大幅増!

東京23区では、廃プラスチックを埋め立て処分しない方針とし、これまで不燃ごみだったプラスチックごみを、資源ごみまたは可燃ごみとする「分別区分の変更」をモデル地域から進めています。4月から、10区が全域で本格実施し、可燃ごみとなったものは、清掃工場で焼却処理されています。

さまざまな添加剤や重金属なども含まれているプラスチックごみの焼却で、環境への影響がでることが心配です。焼却によるCO2増加も懸念されます。

一組の試算に疑問
プラスチック焼却にあたり、23区の清掃工場を管理運営する東京23区清掃一部事務組合(一組)と23区各区は、温暖化ガス排出は微増であると説明してきました。
しかし、一組が試算した温暖化ガス排出予想を検証したところ、一組が算出根拠としている「可燃ゴミに占めるプラスチック混入率」と、プラスチックが可燃ごみになることによって増える「可燃ごみ量増加率」が試算と大きく変わってくる可能性があることがわかりました。

たとえば、プラスチック焼却をいち早く区内全域で始めた大田区のごみが約90%を占めている多摩川清掃工場のプラスチックの割合は、一組の試算を大幅に上回る約23%(07年11月)です。また、大田区では、プラスチックが可燃ごみに変更となった後の可燃ごみの量は、変更前より約22%増加しています。このデータで23区全体の排出温暖化ガスを計算すると、一組の試算で0.7万トンとしていた温暖化ガスが、およそ98万トンも増えてしまいます。

一組の試算は、容器包装リサイクル法を全面展開している横浜市や名古屋市の資源回収実績を参考に「プラスチック混入率」と「可燃ごみ増加割合」を算出したものです。しかし、分別区分の変更を開始した10区で、容器包装プラスチックの資源回収を同時に本格実施している区は半数です。23区全体で資源化に取り組まなければ、一組の試算より温暖化ガスが大幅に増加してしまいます。

生活者ネットの試算結果
23区内の生活者ネットは環境影響調査チームをつくり、このままプラスチックの資源化が進まず混焼された場合CO2がどれくらい増えるかを試算し、6月6日に「23区プラスチック懇談会準備会」が開催したシンポジウム「となりの区はどうしてる?プラスチックは資源じゃないの」で、問題提起を行ないました。

今度は、あたなのまちの実証試験データで、環境影響の試算に取り組んでみてください。

東京・生活者ネットワーク 23区ネット廃プラ問題連絡会 環境影響調査チーム
大田区議会議員・奈須利江(大田・生活者ネットワーク)

〔写真〕6月6日に行なわれた「23区プラスチック懇談会準備会」主催のシンポジウム
(上)集会の様子はテレビ局の取材も入り、放送された
(下左)行政の参加も得ての集会

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