地球温暖化防止策を推進せよ

京都議定書の早期批准・発効を

(報告:江戸川区議会議員 藤居阿紀子)
江戸川区議会で、江戸川・生活者ネットが提案した「地球温暖化防止政策の推進と京都議定書の早期批准・発効を求める意見書」が採択されました。

 最初に提出した発議案は上記の文章の3倍ぐらいの長さで、地球温暖化問題に取り組んでいるNGO‘気候ネットワーク’が呼びかけた文章をもとに、COP6(第6回気候変動枠組条約締約国会議)の現状や、日本国内における温暖化対策の見直しの必要性などが盛り込まれていました。しかし、いつものことですが、区議会の中で長い文章がわかりにくいとの意見が出され、全会一致で提出する方向での話し合いであれば、項目さえ残してもらえれば良しとし、やむなく文章を「簡潔」にした次第です。

 江戸川区では、京都で開催されたCOP3に向けて国際会議を市民で盛り上げ、また、地球温暖化対策を足元から考えていくために、1996年にさまざまな市民や団体によって環境NPO「足元から地球温暖化を考える市民ネット・えどがわ」が発足しています。江戸川・生活者ネットワークからも、メンバーとして多数参加し活動してきました。そして、市民・行政・事業者の3者による連携でカーエアコンのフロン回収を自治体として始めて実施することができました。また、市民のカンパや市民の金融機関からの融資による市民立太陽光発電所の設置などを進めてきました。こうした市民による温暖化防止活動をさらに生かしたものにするためにも、自治体で具体的な取り組みを進めることや、京都議定書の発効を求めていくことは重要なことです。

 COP6は京都議定書のルールをつくるための重要な会議です。1992年に気候変動枠組み条約が採択されて以降、国際交渉の場として締約国会議が各国の主催で行われてきました。1997年12月には、日本の京都で第3回締約国会議(COP3)が開催され、世界160カ国・地域の代表や国連機関、環境・産業NGO、マスコミなど約一万人が参加しました。この会議の中では、主に積極的に進めるEUと消極的姿勢のアメリカの間における、二酸化炭素などの温室効果ガス削減の目標値や対策内容をめぐり意見が分かれ、大変な国益のぶつかり合いの中で、「京都議定書」は採択されました。その主な内容は、(1)数値目標として2008年〜2012年までの5年間に先進国は温室効果ガスの排出を平均5.2%削減する。(1990年対比)、(2)対象ガスは二酸化炭素・メタン・亜酸化窒素のほか代替フロン類など6種類とする、(3)主な国別内訳はEU8%、アメリカ7%、日本6%というものです。

 この議定書の内容は「アメリカの7%」を引き出すための抜け道が数多く盛り込まれたものになってしまいました。例えば、二酸化炭素の排出権を国の間で売買する「排出権取引」が認められました。また、森林が吸収した分を排出量から差し引く「ネット方式」(科学的には不確実)、6種類の温室効果ガスを合計して計算する「バスケット方式」(二酸化炭素削減にはつながらない)等の抜け道です。しかし、温暖化は今後100年間で5.8度という、これまでの予想を越える速度で進行するとされ、地球規模で温室効果ガスの削減対策を進めることは、将来に対する私たち世代の責務です。京都議定書のルールを一刻も早く各国が合意し、議定書の早期発効を実現することが先決でしょう。
今年7月にドイツのボンで再開されるCOP6は、各国が議定書に合意し、批准していくための最終ラインというところまできています。その大きなカギを握っているのが36%の排出量を持つアメリカであり、COP3の議長国を務めた日本の姿勢です。今年1月末に発足したブッシュ政権は、3月28日の記者会見で、京都議定書は致命的欠陥があるとし、離脱することを記者会見で公式に表明しました。このことにより、国際的な地球温暖化防止対策に大きなかげりが見えてきています。議定書発効の要件は先進国の排出量の合計が55%に達していなければいけません。その55%のラインをクリアするために、京都会議の議長国としての日本のリーダーシップが求められています。

 このような状況を踏まえ、日本のNGO団体や市民の間では、早期に京都議定書を発効させるために、日本政府に対する働きかけが始まっています。また、地域の生活者ネットワークの議員を通して3月・6月の定例議会で発議し、国への意見書を提出しています。

〈これまでに東京都内で意見書を採択した議会/2001年6月現在〉
東京都(3月29日)、調布市(3月21日)、立川市(3月26日)、東大和市(3月28日)、狛江市(3月29日)、町田市(3月29日)、国分寺市(3月30日)、小平市(6月5日)、江戸川区(6月12日)、西東京市(6月20日)、府中市(6月20日)
小金井市(6月20日)、清瀬市(6月19日)

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