国立市の民間産廃処理施設の建て替え

東京都はじめてのミニアセスの対象に

国立市議会議員 榊原しげ子
国立・生活者ネットワーク

 国立市の南部地域は、崖線の緑と田園風景が今も残る貴重な場所です。
 一方、長年にわたりいわゆる迷惑施設といわれる処理施設を引き受けてきた地域でもあります。泉一丁目には現在、民間の産業廃棄物焼却施設が2か所あり、常に白煙を上げていることから、住民からは大気汚染などを心配する声もあります。そのような中、株式会社リストが大がかりな建て替え計画を発表し、建物についてはすでに国立市都市計画審議会(3月22日)、開発審査会(5月25日)を経て、建築確認もおりている段階です。
 この計画は2002年12月からダイオキシン規制が厳しくなることに対応しようとするものですが、焼却施設処理能力の日量が13トンから48トンへと大幅に拡大され、24時間運転となること、PCBや感染性廃棄物など有害廃棄物を処理すること、さらには運搬車両の倍増など、さまざまな環境への影響が懸念されます。そこで、このような施設の環境影響評価はどうなっているのか調べてみました。
 大規模な処理施設については環境影響評価条例による調査が行われてきましたが、1998年に成立した廃棄物処理法により小規模な焼却施設(処理能力200kg/時以上)やすべての埋め立て処分場が、ミニアセスの対象となり、都知事の許可が必要となりました。まずは事業者自らが、東京都の事前相談を受けながら、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、悪臭その他について、周辺地域の生活環境に及ぼす影響を予測・調査し、生活環境影響評価書を作成します。その後、都が申請書を受理すれば、それを告示・縦覧して、市民が意見書を提出するなど、関係市の市長が意見を言うことができます。また専門家からも意見を聞くシステムになっています。
 今回の国立でのケースが東京都で扱う初めてのケースとのことで、現在はまだ事前相談の段階とのことです。
 生活者ネットワークは、このような施設建設について十分環境に配慮した慎重な調査・指導が必要であると同時に、住民にわかりやすく知らせていくことが重要と考え、行政にも働きかけをしています。7月には都の指導で、住民への説明会(7月2日、11日)も行われましたが、アセスの観点からはまだまだ不十分な内容でした。市民も現状の見学会を行ったり、学習会を予定したり、徐々に関心が高まっています。
 自分たちの住むまちの安全を確保するために、こうした制度を使いこなし、専門的知識を取り入れながら、市民が行政とともに事業者にどう働きかけていけるか注目されます。

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