自衛隊を撤収し、イラク国民に理解される復興支援を

自衛隊派兵はイラク復興支援にならない

 イラクで武装グループに誘拐されていた3人の民間邦人が、イスラム宗教者委員会の尽力で無事、開放された。関係者の努力に敬意を表するとともに、3人の生還をともに喜びたい。開放の理由は、4月10日に出された武装集団の声明文にあるとおり、米国のイラク占領とそれに協力する日本政府の自衛隊派兵に反対しつつも、真にイラク復興に尽力する市民と、3人の開放を求める家族や日本国民の姿勢を評価してのことと考えられる。
声明は、小泉首相をはじめとする日本政府の姿勢を、日本国民への最低限の敬意さえ欠くものと批判し、さらには、イラク国民の生命への敬意にも多大な疑問を呈した。フセイン独裁政権を倒しはしたが、開戦以来、イラク国民の犠牲は圧倒的であり、アメリカの無差別攻撃による犠牲が多大であることからも、アメリカの占領に対する抵抗は宗派を超えて広がっている。また、3人は開放されたが、イタリア人の人質は殺害され、さらに2人の邦人が行方不明となっている。すでに12か国、約40人を超える外国人がイラク武装組織によって拉致・拘束されているといわれている。依然として治安の悪化は続き、イラク駐留米軍との戦闘が続いていることを忘れてはならない。
なにより、イラク攻撃の結果、イラク国内はもとより、世界中がテロの脅威に曝されるようになったのではなかったか。今、日本政府に求められることは、アメリカに協力することではなく、国連を中心としたイラク国民の納得できる復興プロセスを示すことができるよう、国際社会の協力に尽力し、早期にアメリカのイラク占領を終結させることである。開放された高遠さんは、「つらい、いやなこともあったがイラク人を嫌いになることはない。活動は続ける」と、語っている。イラク復興は、イラク人自身と国際社会の手にゆだねるべきであることはいうまでもない。
生活者ネットワークは、日本政府が、イラク国民からも軍隊と受け止められている自衛隊派兵を直ちに停止し、日本のなすべきイラク復興支援の方法を国際NGOとともに再検討することを強く求める。

東京・生活者ネットワーク代表委員 大河原雅子/樋口蓉子/藤居阿紀子

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