東京都教育委員会第13回定例会・教科書採択に関する見解

 本日、東京都教育委員会は、都立の中高一貫校4校(中学)、都立盲・ろう・養護学校(小・中、一部別途採択)で、来春から使われる教科書について採択を行いました。都立養護学校等はもちろん、それぞれ特色が異なる中高一貫校4校の中学校の社会(歴史的分野)の採択について、「新しい歴史教科書をつくる会」扶桑社の教科書が、課題はおろか、評価理由さえ一言の発言もないまま、全員一致をもって、採択されたという事実に驚きを禁じ得ません。
 国際公約に違反する教科書を検定合格させ、現場の教員の意見を排除した採択制度へと改正し、「つくる会」以外の教科書からも「慰安婦」の記述、「侵略」「虐殺」などの用語の削除を「自主規制」として事実上の強制を行なってきた政府・文部科学省の責任は重大です。市民、教育、法曹をはじめとする各界、アジアの近隣諸国からは「つくる会」の教科書に批判や意見が相次いでいます。多くの関心を集める中、本日の会議では、委員自らの説明責任が全く果たされず、同時に、採択のための各社教科書の記述を比較した教科書調査研究資料が、中立・公平・公正につくられたのか、東京都の教育行政の姿勢が問われます。
 さらに、市民、教育現場の関心の高い教科書採択に関し、教育委員会傍聴に170人もの希望者が駆けつけたにもかかわらず、傍聴席を20席しか提供せず、議論を開かれたものとすることを排除する姿勢は、公教育、義務教育を自らの手で閉塞させることであり、極めて遺憾なことです。
 東京・生活者ネットワークは、東京都の教育行政のあり方に対し、強く抗議します。     以上

東京・生活者ネットワーク 代表委員 山口文江

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