新しいワークルール・若者編 その1

若者世代が、希望をもって働ける社会をつくる

若年層(15歳〜34歳)の就業環境は悪化し、 失業率が上昇するとともにフリーターの数も急増している。 日本全体で2002年には417万人(内閣府調査)、10年間で2倍となったとされ、若年人口に占める割合は21.2%。 東京では34万人(東京都総務局調査)と推計される。
これまでパートなど非正規の働き方といえば女性の問題とされてきたが、 若者の就労環境の変化に着目し、 東京・生活者ネットワークは、 フリーターに聞き取り調査を行なった。

●若者の失業率10%。増加するフリーターやニート
 東京・生活者ネットワークの聞き取り調査では、 正社員志向型は約半数だが、 国の調査ではフリーターの7割が正社員志向である。フリーターの増加は、若者自身の問題だけではなく、 人材育成を欠いた企業の姿勢、 社会経済構造が根本的な問題である。 パートやアルバイトを調整弁とする雇用戦略は、 長期的にみれば十分なスキルアップや訓練がされない人を増加させ、 やがて人材不足を引き起こすことになる。 企業における従業員の高齢化が新卒求人の抑制につながり、 正社員のサービス残業が増加傾向にあることも大きな要因としてフリーター化を進めた。
 フリーターがこのまま増え続けると、 2010年には経済成長率を1.9%押し下げるとも予測され、 社会的にも大きな損失となる。 フリーターや若者の就職難が続くことは、 いずれ広い年齢層まで影響が及ぶ深刻な雇用問題である。 若者が職業能力を高める機会を、 社会的責任として企業に求めるとともに、 国や自治体、 教育機関を含めて、 早急に準備し取り組まなければならない。
年間10万人に上る高校中退者も看過できず、 自立にむけた職業観の育成、 社会保障制度のしくみを学ぶ場やインターンシップによる就労体験、 キャリア形成を支援する教育が必要である。 中退を防ぐ体制づくりとともに、 中退後の進路をひらく条件整備が急がれる。
 若者の自立を支援することは、若者を社会の資源ととらえ、その活力を社会に生かすことでもある。 日本では、若者が必ずしも社会の一員として位置づけられておらず、力の発揮が阻まれている。 労働の問題だけでなく包括的な議論と取り組みで解決策を模索することが必要だ。 若者の独り立ちを支援する原資をひとり一人の誕生時から準備する『チャイルド・トラスト・ファンド』の創設、自立のための包括的・継続的な支援を行う『コネクションズ・サービス』、NPOによる住宅面でのサポートも有効だ。
 本来、フリーターに限らず、どのような就業形態を選んでも、安心して生活できる賃金水準と労働条件を確立することが求められるのであり、フルタイムとパートタイム間の同一価値労働・同一賃金の原則を義務化する法整備は、若者に限らない重要課題だ。

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