男女平等政策への無理解と恣意的な歴史教科書採択に抗議します

東京都教育委員会第13回定例会の決定事項に関する見解

 8月26日、東京都教育委員会は、学校教育の将来に禍根を残す決定を行いました。
 子どもの権利を保障し、最善の利益を願う都議会生活者ネットワークは、決定された「ジェンダー・フリー」に関する見解および、同日付けで都立学校長宛に通知された「配慮事項」等の内容に対し、東京都が推進する男女平等教育に相反する事態として憂慮し、また国際社会に道を閉ざすような認識を盛り込んだ教科書採択の諮問や選定に至る経過および決定に対し、ここに強く抗議をし、速やかな撤回を求めます。
 今回の男女平等教育の審議において、東京都教育委員会は、性差と社会的につくられた差別を意図的に混同させるジェンダーフリー論をただすことなく、むしろ、ねじ曲げた「ジェンダー・フリー」の使用に関する見解を示しています。教育現場で、どのような誤解や混乱が起きているかの検証もないまま、今後の混乱をあえて招くような姿勢です。東京都が男女平等施策として推進してきた男女混合名簿に関しても、「名簿作成の権限は学校長にある」としながら、配慮事項として、明確な作成基準を示さず、今後の男女混合名簿の推進のみならず、男女平等教育そのものを阻害する姿勢と言わざるを得ず、実質、校長権限を超え言及したことは、暴挙といわざるを得ません。
 男女平等政策の推進には、避けることのできない文化的、社会的につくられた性差別からの解放という正しいジェンダー・フリーの認識を教育の現場において伝え、男女平等教育を着実にすすめられることこそが東京都教育委員会の使命であるべきです。
 次に、教育委員会は、教科書選定問題で重大な誤りを犯しました。都立中高一貫校や都立盲・ろう・養護学校における教科書の採択に関し、多くの市民の2万筆を超える意見や危惧の声を全く無視した決定です。教科書選定に関する曖昧な判断基準と、教科書選定委員会への恣意的な諮問や、非公開での委員会のあり方、および今後の国際社会での孤立化を招くような認識の欠如が、全国的な影響を及ぼすことに、大きな憂慮を抱かざるを得ません。
 都議会生活者ネットワークは、以上の見解から、東京都教育委員会の判断に対し、強く抗議します。

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