「水道法の一部を改正する法律案」に関する見解

2018年12月6日 13時52分 | カテゴリー: ステートメント

東京・生活者ネットワークは、第197回秋の臨時国会において、衆参両院で強行採決し、政府与党が成立を目指す「水道法の一部を改正する法律案」に反対する。

東京・生活者ネットワーク環境部会では、7月20日に岸本聡子さん(トランスナショナル研究所/ベルギー在住)をお呼びして「公共サービスを取り戻す!上・下水道事業民営化を考える」学習会を実施した。

第196回国会の衆議院厚生労働委員会において、8時間の審議で衆議院を通過し、この臨時国会の参議院で審議された「水道法の一部改正する法律案」には、公共施設等運営権を民間事業者に設定できる「コンセッション方式」の仕組みを導入する内容が含まれている。

「コンセッション方式」では、民間企業が管理運営全般に経営責任を持つ。資産は公にとどまるが、運営権が「民間」に渡るため、意思決定も基本的に「民間」に移ることになる。水道料金だけにとどまらず、投資、技術、労働、環境政策などにも広がり、市民が運営を監視できなくなり、議会を通して説明や、情報公開を求める権利もなくなることにつながる。

このような中、福井県議会は「水道法改正案の慎重審議を求める意見書」、新潟県議会は「水道民営化を推し進める水道法改正案に反対する意見書」を提出している。東京都ではすでに水道事業を一元化し、1300万都民の「水」を一手に担っており、この法改正は看過することはできない。

国はこれまで、一斉に老朽化する水道管を含めた水道施設の更新を民間資金で行うとしている。しかし、公的な資金ができないものが、どうして民間の資金ができるのかの説明がされていない。すでに民営化をすすめた海外では料金の高騰や水質悪化などにより、民営化した水道事業を公営に戻す「再公営化」が相次いでいる。再公営化も膨大な違約金が発生するなど、決して簡単なことではない。民営化により、海外からは「水メジャー」と呼ばれる巨大な水道事業者の参入も問題とされている。このように世界がすでに水道事業の民営化に失敗しているにもかかわらず、それに学ぶことなく、なぜ世界の流れに逆行するのか。

「水」は人間にとって生命を維持していくのに不可欠なものであり、水道は重要なライフラインである。東京・生活者ネットワークは、今回の「水道法の一部を改正する法律案」は、すべての人が安全でおいしい水を安定的にしかも低廉で使用でき、安心して生活を営む権利(公共の福祉)を奪いかねないことから、水道事業は民営化になじまないものと考える。