地方議員の厚生年金加入の動き―議員年金の復活か?

CIMG0818 生活者ネットワークでは議会を変えるために議員の特権化、職業化しない取り組みを進め、特に特権的だった議員年金については2010年に「地方議会議員年金の廃止に関する要望書」を国に提出し、廃止を訴えてきました。2011年6月、年金財政の悪化により地方議員年金制度が廃止となりましたが、実質的な制度の廃止までには60年近くかかると言われ、そのために必要な税金は1兆3600億円と試算されています。この間も議員年金受給者のために各自治体が負担金(税金)を出し続けています。負担率は2011年6月の廃止以降が102,9%、2012年57,6%、2013年51,9%、2014年52,8%、2015年63,7%。給付金の算出は標準報酬月額×議員定数×12か月×負担率63,7/100=給付費負担金の額になります。例えば、議員報酬が62万円の世田谷区では2015年は2億1800万円余りを負担していることになります。

ところが、5年たった今、全国市議会議長会の依頼で各市区議会から地方議会議員の厚生年金への加入を求める意見書を提出する動きがあります。すでに、25道県議会で意見書が可決しています。この動きは「議員のなり手がいない」「退職後の生活が不安」「2015年の統一地方選では町村議が21,8%も無投票当選した」などが理由になっています。これらの課題が議員の厚生年金加入で解決するとは思えませんが、仮に地方議員が厚生年金に加入した場合、掛金の半額は自治体が支払うことになり、全地方議員が厚生年金に入ると、毎年170億円の税金が必要になります。                                                                                      DSC_0022

そこで生活者ネットでは緊急の学習会をもって、各自治体の状況を調べ、この動きについて議論しました。福生、狛江、府中などの自治体ではすでに議会に提案され、議論の遡上に上っていることがわかりました。結論としては市議会議長会からの提案が性急であること、公費負担が大きいこと、市民の意見を聴いていないことなどから、賛同することはできないということになりました。早くから生活者ネットはだれもが老後を安心して暮らしていけるよう、年金の一元化を提案してきました。本来は国民年金だけでは生活できないという実態に目を向け、最低生活が保障されるよう国民年金制度の改革にこそ着手すべきです。非正規で働く人や国民年金加入者の中には、掛け金を払えないという現実があり、税金を使って議員だけが老後の生活保障されることは、到底市民に受け入れられるものではありません。

また、政務活動費についても公開・使途・支払方法などについて調査を行い、実態を把握。世田谷区や西東京市では条例に「ホームページでの公表」が明記され公開されています。全国的に不正受給が問題になっているなかで、政務活動費の使われ方が問われている今、地方議会に市民の関心や信頼を取り戻すために市民がいつでもチェックできるようなしくみが急務です。

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