アベ政治を止める!自由と民主主義を守るために -生活者ネット国政フォーラムから-

2016年2月23日 17時01分 | カテゴリー: ステートメント, トピックス, 国際・平和, 活動報告

アベ政治を止める!自由と民主主義を守るために -生活者ネット国政フォーラムから-

 

2月12日、山口二郎法政大学教授を迎えて東京・生活者ネットワーク国政フォーラム「憲法・平和・市民自治を考える 安倍政治を止めるために」を開催した。――非常にまずい政治状況、特に高市総務大臣のメディア・テレビ威嚇など安倍政権の閣僚は酷い。それでも安倍政権の支持率がそれほど下がらないのはなぜなのか――と切り出した山口さん。まずは2015年を振り返ってみよう。

◆2015年におこったことを忘れない

2015年9月16日、立憲デモクラシーの会の学者たちが国会前で、安保法案を廃案に!と声をあげた。怒りのアピールをする山口二郎さん(法政大学教授)

2015年9月16日、立憲デモクラシーの会の学者たちが国会前で、安保法案を廃案に!と声をあげた。怒りのアピールをする山口二郎さん(法政大学教授)

昨年は安保法制が通り、集団的自衛権の行使が是認されてしまった年だ。戦後平和主義が転換され、一方的な力によって「戦後が終わった」ということでもある。

ところで日本の「戦後」は敗戦後直ぐに始まったわけではなく、15年ぐらいの間、戦後政治原理を巡るたたかいがあった。憲法を変えたい安倍晋三氏の祖父岸信介など戦前から続く政治エリートと、戦後憲法を守りたい市民とのたたかいだ。その転機が60年安保だ。岸は憲法改正の一里塚として新安保条約を強行採決によって成立させた。一方、市民は岸による憲法改正を阻止、安保は通ったが岸を追放し、その後の自民党政権のもとで、戦後新憲法はそれなりの定着を見せ、日本的平和主義は60年代以降自民党政権によって形つくられていく。すなわち憲法9条の枠内で自衛隊を位置づけ、専守防衛とその論理的必然として海外における武力行使は行わない、集団的自衛権は行使しないという原理が導かれたのであった。

東京・生活者ネット国政フォーラムで講演する山口二郎さん(法政大学教授)

東京・生活者ネット国政フォーラムで講演する山口二郎さん(法政大学教授)

しかし昨年の安保法制の成立=憲法違反の集団的自衛権行使容認により、私たちは、平和国家日本の放棄、議会政治の破壊、沖縄に象徴される立憲主義の否定に直面している。さらには、9条2項が現実に合わないから改正しようなどと嘯いている。だが、中国や朝鮮半島情勢は今に始まったことではなく、集団的自衛権が発生する客観的現実=立法事実は存在しない。ではなぜ安保法制か。それは劣等感の所産。湾岸戦争のトラウマから海外で軍隊を動かし国際政治の場で影響力を持ちたい外務官僚と、改憲を果たせなかった岸信介の挫折を超える憲法改正で歴史に名を残したい安倍首相個人の、ともに「劣等感の所産」に他ならない。

一方、安倍首相によって、期せずして注目が集まった立憲主義は、権力者を抑え込むための憲法規範であると同時に、民主主義の時代にあって、多数者の暴走(少数者の抑圧)にこそ歯止めをかけるに不可欠要素であるということが認識されるようになった。

戦後70年のタイミングで、戦争世代の退場、中国の巨大化と戦争責任の追及、経済成長の終わりによる国力低下への恐れ、アメリカの国力の低下と日本への要求増によって戦後の枠組みが崩壊、安倍首相による戦後への復讐が始まった。自由と多様性を嫌う安倍政治、メディアへの抑圧・威嚇、そして過剰忖度と自粛がイヤな時代の雰囲気をつくり出している。メディアにおける為政者のウソの垂れ流し、政権による批判的メディア・知識人への抑圧、反知性主義の跳梁跋扈などは、日本版マッカーシズムとでもいうべき悪しき事態だ。

◆新しい社会運動の力 新しい政治文化の出現

昨年は酷い年だったが明るい希望も膨らんでいる。安保法制の議論の中で憲法とか平和主義とか憲法9条という言葉が多くの人を動員し、9条の強い訴求力を確認した年でもあったからだ。9条・平和というシンボルの動員力、立憲主義という概念の再発見、普通の人がデモや集会に行くなど、社会のレベルで民主主義が再生したのは昨年の安保法制反対の大きな成果だ。特にSEALDsなどに集う若者たちの運動に新しい政治文化の出現を見出すことができる。イデオロギーではなく、よいものを守れ・・・みたような運動。安倍極右革命路線に対して、安保法制反対の人は「今までの平和主義で足りているのに、なぜ変えるのか」という、本来の保守的発想でたたかった。

今年夏の参院選の全国比例区で立候補を予定する、前参議院議員大河原まさこさんを、東京・生活者ネットは推せん。国政に市民の議席を取り戻そうと、連日、各地で遊説活動に取り組んでいる。アピールする大河原まさこさん。生活者ネット都議の西崎光子(左)と前練馬区議の菊地靖枝。1月28日、練馬区で

今年夏の参院選の全国比例区で立候補を予定する、前参議院議員大河原まさこさんを、東京・生活者ネットは推せん。国政に市民の議席を取り戻そうと、連日、各地で遊説活動に取り組んでいる。アピールする大河原まさこさん。生活者ネット都議の西崎光子(左)と前練馬区議の菊地靖枝。1月28日、練馬区で

SEALDsの若者たちは多感な中学・高校時代に3・11を経験した。不条理に打ちのめされた人々に寄り添いたい気持ち、優しい気持ち・シンパシーを持つ一方で、原発事故を引き起こした大人の無責任・政治へのいきどおりを持っている。これが物事を見るときの座標軸になっていて、この見方・社会へのまなざしは、彼・彼女たちのなかで一生持続するのではないかと思う。3・11が社会の、政治の闇を暴き、そして新しい世代をつくったのだと思う。また、ゆとり教育が本来の成果を表したともいえる。本来ゆとり教育がめざしたのは教師が一方的に教え込むような学びではなく、主体である生徒自らが問いを立て情報を集めて答えを考えだし、人に客体に向かって説明するという訓練であり、あるべき学びへの大転換だった。自分の頭で考え、自分の言葉で語る若者たちの出現は大きな希望だ。

民主主義を支える市民をどうやってつくり出すかは政治学者にとって大きな宿題だった。90年前に著された和辻哲郎の「民主主義と風土」では、「家」を守る日本人と「城壁の内部で生活する」西欧人を比較し、「忍従」と「公共的なるものへの強い関心関与」が考察されている。日本では公共的なものに対する無関心が根底にあり、忍従が発達した。真のデモクラシーは人々が公共的のものに関心を持ち、関与しようとする意欲を持ち、自己を主張することにある。昨年の安保法制反対運動には、日本にも、その公共的なるものへの関心関与と自己主張が確実に現われていたことを喜びたいし、社会運動には政党の背中を押す力がある。

集団的自衛権に関しては依然として過半数が反対している。人々の関心熱意は衰えていない。学者のグループも自ら行動しいろんな形で社会的教育を展開しており、集会には毎回おおぜいの市民が参加している。問題はどうやって社会レベルの運動を議会政治につなげるかということである。

◆ point of no return  2016年をどう戦い抜くか

2月14日に開催された、「民主主義を取り戻せ!戦争させるな!安倍政権NO!」集会、デモでは、野党5党を代表する国会議員が連帯のあいさつに立ち、デモの先頭を歩いた。この日の参加者は1万人。代々木公園で

2月14日に開催された、「民主主義を取り戻せ!戦争させるな!安倍政権NO!」集会、デモでは、野党5党を代表する国会議員が連帯のあいさつに立ち、デモの先頭を歩いた。この日の参加者は1万人。代々木公園で

安倍首相は2014年の閣議決定、2015年の安保法制とホップ・ステップでやってきて、今年はジャンプの年などと発してはばからない。年頭から憲法改正を発議できる3分の2をとりたいといい、続く予算委員会でも9条2項を変えたい発言を繰り返している。まさに宣戦布告だ。大阪維新など憲法改正にかかる安倍政権に連なるパートナーが増える状態にあり、公明党に歯止めを期待するのも難しい。さらに来年4月の消費税率引き上げを前に衆参両議院の同日選もありうる。閣僚の辞任などマイナス要素があるにもかかわらず内閣支持率は思うほど下がっていない。

2016参院選では改憲勢力が3分の2をとる可能性もある。まさに戦後憲法体制の崩壊過程における“point of no return”となる危険性がある。

1930年代のドイツでナチス党が権力をとったとき一夜にしてヒトラーが独裁体制をつくったわけではない。最初は少数与党としてスタートし、保守的な政党を丸め込んで全権委任法をつくった。野党を非合法化しユダヤ人迫害へと進む独裁体制は、こうして作られていったのだ。今の安倍政権は行政府への権限移譲を進めている。内閣法制局長官の人事、NHK や日銀、大学など公共的機関・領域が安倍政権のコントロール下に置かれる状況にあることに、私たちは危機感を持たなければならない。“point of no return”の手前でやるべきことをやらなければいけない。

◆2015安保の再現を!市民が制す参院選へ Say No to Abe

世界を見通すと、今日におけるリベラル派の反撃もまた目に飛び込んでくる。カナダで実現した政権交代、イギリス労働党におけるコービン党首の登場、アメリカ次期大統領では民主党予備選におけるサンダース上院議員が追い上げている。

東京・生活者ネットも賛同団体になった「止めよう!辺野古新基地建設 沖縄と本土の力をひとつに 2.21国会大包囲」。ヒューマンチェーンが国会を包囲するなか、「辺野古に新基地をつくるな!」「安保法制を廃止に!」「参院選で安倍政権を追い込もう!」「戦争する国づくりストップ!」とのリレートークが続いた。参加者は2万8000人。2月21日

東京・生活者ネットも賛同団体になった「止めよう!辺野古新基地建設 沖縄と本土の力をひとつに 2.21国会大包囲」。ヒューマンチェーンが国会を包囲するなか、「辺野古に新基地をつくるな!」「安保法制を廃止に!」「参院選で安倍政権を追い込もう!」「戦争する国づくりストップ!」とのリレートークが続いた。参加者は2万8000人。2月21日

私たちの、直近で最大のテーマは参議院選挙。改選議席が多い民主党に対して、定数是正は自民党に有利という状況下での選挙である。

1月の世論調査(朝日新聞)で改憲には46%、安保法制には52%が反対を表明しており、安倍首相の経済政策は成功37%、失敗35%と拮抗している。経済政策への漠然とした肯定はさておき、政策選好と政権支持のかい離があることは確実だ。

野党の結集を図るためにSEALDs、ママの会、学者の会、立憲デモクラシーの会、総がかり行動の有志が「市民連合」を設立し、野党結集の世論喚起と1人区における野党候補の統一に向けた調整を行っている。最大の敵を見据え、参院選のテーマは“Say No to Abe”。市民連合の3原則、安保法制の廃止、立憲主義の擁護、個人の尊厳を守るための社会経済政策で結集するのだ。しかし野党の結集だけで確実な勝ちは望めない。

山口二郎さんは参院選を前に、「2015安保の再現を!!」と呼びかける。行動目標は、――◆「投票率を上げる!政治の変化に期待した有権者1700万人を投票に呼び戻そう!」(2009年総選挙の投票率は69% 2013参院選、2014総選挙の投票率は52%)。◆「若者の政治参加から新しい潮流をつくろう」◆「自由と民主主義を壊すのか、守るのか」――時代を画する正念場の選挙が2016参院選なのである。

折しも、いよいよ今夏の参院選から18歳選挙権が導入される。「公共的なものへの関心関与と自己主張」とはまさに「生活の自治」、一人ひとりが自分の頭で考え、情報を集め、対話して主張を広げていくこと、ネットワーク運動の本旨もまたそこにある。後戻りできない状況に追い込まれる前に、今、私たちがなすべきは、安倍政治を許さない人々の意志を、投票に結び付けること。行動あるのみだ。