新たな議員年金問題、厚生年金への地方議会議員の加入は反対!

与党が検討している「厚生年金への地方議会議員の加入」制度

「厚生年金への地方議会議員の加入」に向け、法整備の動きが具体的になっています。全国市議会議長会等が働きかけ、自民党は「地方議員年金検討プロジェクトチーム」で本格的に検討、今国会で議員立法を目指すと報道されています。

昨年からマスコミ報道などの「お手盛り-議員年金復活か!?」などの批判に対し、市議会議長会等は、「地方議会議員のみを対象とした旧地方議会議員年金制度の「復活」を求めるものではなく」、旧制度を廃止する法案審議における「附帯決議」に基づくものであると説明しています。

確かに、財政的な破たんが主な原因で2011年6月1日に制度が廃止された「旧地方議会議員年金」制度と異なり、今回の制度案は、地方議会議員を「厚生年金」に加入できるようにするものです。しかし、根拠とされる附帯決議では、新たな制度の「検討に当たっては、地方議会議員の取扱いについての国民世論に留意」とも明記されています。旧地方議会議員年金制度の負担が今後も続く中、「新たな公費負担」に対する住民の理解が得られる訳はありません。“事業主”は、自治体市民であり、地方財政措置は国民負担に他ならないのです。

問題は年金制度そのもの-「被用者年金」と「国民年金」との統合の課題

2011年の「地方議会議員年金制度の廃止」にあたり、東京・生活者ネットワークは、「財政破綻が原因である制度廃止のために、多額の公費投入をすること」に対する是正を求めると同時に、「年金の一元化」など、公的年金の抜本改正を主張してきました。共済年金と厚生年金が一元化され、残された課題は「被用者年金」と「国民年金」です。

国民年金だけの議員が退職後の不安を抱え、そのことが「担い手不足」につながっているとの主張があります。自民党の総務会長は「年金が無い退職議員の窮状」を訴え、年金制度の再考を促しましたが、そもそも、窮状に至るような国民年金(基礎年金)のそのものが問題であることは言うまでもありません。

厚生年金加入者の受給額が、基礎年金+厚生年金(納付期間や賃金に比例)で、月平均154,000円であるのに対し、国民年金だけの受給額は、基礎年金(定額)で5,7000円。「国民年金」だけでは、とても“老後の安心”にはなり得ないのです。少子高齢社会において、「公的年金制度」そのものの抜本改正は、避けては通れない問題、そして、暮らしの不安は議員だけの問題ではないのです。

私たち生活者ネットワークは、基礎年金(国民年金)の問題は、早急に是正すべきであり、それこそが議会の果たすべき責任だと提案し続けます。

そして、担い手問題については、改めて「議会とは、議員とはどうあるべきか」という議論をする必要があることを付け加えたいと思います。地方自治を担う二元代表制の一翼を担う議会の役割として、報酬等もふくめ、どうあるべきなのか、批判を恐れず、市民と共に議論すべきではないでしょうか。そして、ライフステージの一時期、政治に参画することが有意義であると思える文化を目指したい-普通の市民として議会に参画し、議員特権を解消し、議会改革をすすめてきた生活者ネットワークは考えます。

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