議会活動と子育ての両立のための環境整備を

2017年12月14日 22時01分 | カテゴリー: ステートメント, トピックス, 女性, 子ども・教育, 活動報告, 議会改革

議会活動と子育ての両立のための環境整備を

 

先月、熊本市議会において、乳児を連れて議席についた女性議員が、規則違反として退席を求められたことが、関心を集めました。マスコミ報道では、当該議員の当日の“行動”だけが大きく取り上げられ、賛否両論が巻き起こりましたが、この問題の本質は、「子育て中の人も議会活動を続けていくうえで何が問題になっているか」ということであり、本来の論点が置き去りにされていることに大きな懸念を禁じ得ません。今回の事柄を個人の問題に留めるのではない、本質的かつ普遍的な、議論が必要です。

日本も参加しているIPU(列国議会同盟)による「ジェンダーに配慮した議会のための行動計画」(2012年10月採択)では、行動計画のひとつとして「ジェンダーに配慮したインフラ及び議会文化の整備又は改善」を求めており、議院内に託児所やファミリールームを設け、開会中も議員が家族と過ごせるようにすることなどが掲げられています。

日本は「2017年版ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index」で114位、特に分野別では「政治参画」が前年の103位から123位へと大きく後退しています。社会の意識改革はもちろんですが、「ジェンダーに配慮したインフラ及び議会文化の整備又は改善」の必要性も明らかです。

議会の規則(ルール)は、社会の変化に応じて、よりよい内容に見直していかなければなりません。都議会では、2000年3月設置の「都議会のあり方検討委員会」において、生活者ネットワークの提案がきっかけとなり、都議会会議規則が改正(2001年)、それまで「疾病又は事故」とされていた欠席事由に「出産」が加わりました。遅ればせながら、2015年「標準市議会会議規則」の一部が改正、「近年の男女共同参画の状況にかんがみ、地方議会においても男女共同参画を考慮した議会活動を促進するため」(全国市議会議長会)、欠席事由に「出産」が加えられました。

出産の次は「育児」、もちろんこれは、男性議員にも関わる問題です。沖縄県北谷町議会は、保育スペースの提供を全会一致で了承、当該の女性議員は議員控室を保育スペースとして利用しています。都議会では、子ども連れの議会傍聴者のために幼児ルームで託児サービスを実施しており、子育て中の議員の活用も検討が求められます。「子育て中の議員も活動しやすい環境整備」のため、具体的に踏み出す時なのではないでしょうか。

さらに付け加えると、前述の熊本市議会で“違反”とされた「規則」は、議会傍聴規則を指しています(第10条【議場への入場禁止】傍聴人は、会議中いかなる事由があっても議場に入ることはできない)。

育児中の議員が連れた乳児が「傍聴人」かどうか…はともかく、議員以外は議場に入れないとする「規則」は、全国、標準的なものです。ここまでは、「男女平等、共同参画」の視点で述べてきましたが、この「規則」は、例えば、様々な理由・事由で支援が必要な「議員」に“介助”を認めず、本人の意思に関わらず、会議への参加を阻む要因ともなっています。

おりしも、都議会は今定例会において、会議規則を改正、既述の「本会議の欠席事由」に「家族の弔事、家族の看護又は介護、配偶者の出産補助」を加えました。

参考までに、近隣では、千代田区議会や調布市議会が「家族の看護又は介護」を、川越市議会や狭山市議会は「育児」も加えています。(川越市議会は「欠席、遅参、早退」)

本来、議会は、全ての人に公平に開かれているべきです。東京・生活者ネットワークは、政治参加を阻むものがあれば、それを取り除き、参加できる環境を整備することを求めていきます。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/kokusai_kankei/kaigi/ipu/pdf/h24_127kekka.pdf

 

行動分野4 ジェンダーに配慮したインフラ及び議会文化の整備又は改善(一部抜粋)

議会は他の職場と同じように、あるいはそれ自体が、家族に優しい政策及びインフラの提供、差別とハラスメントの防止に関連した政策、議会の資源及び設備の公平な配分に関する政策の実施を通じてジェンダー配慮の原則を支持することによって、模範として社会の役に立つべきである。

「仕事と家庭の両立支援」

議会は、世界中の女性が育児に関して不相応な時間を費やし続けているという事実を認識し、職場方針及びインフラが両性の議員が現在直面している仕事と家庭の実態を反映したものとなるよう、以下に掲げる措置を講じるべきである。

◎ 審議時間を変更(例:審議を圧縮して行う週を設ける、審議開始時刻を早める、遅い時間の議決を避ける、学校のスケジュールに審議日程を合わせる)して、議員が選挙区に帰り家族と過ごせる時間を増やす。

◎ 議院内に託児所やファミリールームを設け、開会中も議員が家族と過ごせるようにする。

◎ 子供が誕生した際は、男性議員も女性議員も育児休暇を取得できるようにする。

◎ 長期育児休暇が実施できない場合に、公務上の理由に加え、育児休暇を審議日程に欠席する正当な理由として認めるといった代替案を検討する。

◎ 授乳中の議員が審議に出席しなくていいように、代理投票やペアリング制度を利用できるようにする。

 

IPU(列国議会同盟)は、1889(明治22)年に設立された世界の議会による国際機関であり、各国・地域の議員の対話の中心として、世界の平和と協力及び議会制民主主義の確立のために活動している。2014(平成26)年10月現在、166の国・地域が加盟。

日本国会は1908(明治41)年に加盟し、大戦後は1952(昭和27)年に復帰、原則として会議ごとに代表団を公式に派遣している。(参議院HPより抜粋)