「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会始動―すべての人に尊厳と人権を―

2013年11月13日 18時01分 | カテゴリー: ステートメント, トピックス, 労働, 国際・平和, 女性, 子ども・教育

「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会始動―すべての人に尊厳と人権を― 

今年5月、国連人権条約機関の社会権規約委員会」と「拷問禁止委員会」の2つの日本国審査が行われました。今回の審査では、一部評価されたものがありましたが、全体では70項目にも及ぶ是正勧告がありました。しかし、日本政府は、これら勧告に対して、あろうことか「従う義務なし」との閣議決定をしています。国連での勧告の場面では、ある委員から「日本は、まるで中世の様だ」と揶揄される場面も。アイヌ、沖縄先住民族、被差別部落、日本軍「慰安婦」、性差別、朝鮮学校支援・無償化排除、ヘイトスピーチ、福島の子ども救済、セ

「朝鮮学校はずしにNO!すべての子どもたちに学ぶ権利を!」─朝鮮学校への「高校無償化」適用、朝鮮学校への補助金復活を求めて、2013年3月31日、日比谷野外音楽堂で全国集会が開かれた。全国の朝鮮学校の生徒や保護者、学校関係者のほか、市民7500人が参加。東京・生活者ネットワークも賛同団体に加わった

クシャル・マイノリティなどなど(日本にはまるで何事もないかのように、あるいは時間が止まったかのように)……、人権問題が解決をみないまま山積しています。 

これまで、各人権団体はそれぞれの場で、それぞれの課題解決にむけて、長きにわたり、真剣に努力を重ねてきましたが、ほとんどのメディアも国連勧告の重要性を認識せず、日本政府や日本社会に蔓延する人権意識の低さから、困難な状況に解決の兆しは見られないのが実情です。 

「朝鮮学校はずしにNO!すべての子どもたちに学ぶ権利を!」全国集会後、参加者は銀座へのパレードを行った。2013年3月31日

東京・生活者ネットワークは、「子どもの権利条例東京市民フォーラム」事務局を担う立場から――研究者や各人権団体などNGOの側から、日本国内の人権侵害・差別・排外主義の実態をレポートする「社会権規約NGOレポート連絡会議」――にメンバー参加し(第3回社会権規約NGOレポートでは、「子どもの権利条例東京市民フォーラム」は、『原発事故対応~被災者対応』と、『子どもの(特に3.11後の)健康と食の安全対応』について担当)、日本政府、国連社会権規約委員会に働きかけてきました。しかし、日本政府の今回の国連審査における報告内容、答弁内容、国連勧告を受けて後の不誠実極まる態度表明は、冒頭で述べた通りです。 

こうした状況を多くの人々に伝え、日本政府に「国連・人権勧告の実現を!」と訴えるために、同実行委員会が立ち上がり、連続学習会(9月~11月14日)、12.14立ち上げ集会(明治大学リバティタワー/荒牧重人山梨学院大学教授ほか)、2014.1.25大集会とデモンストレーション(代々木公園野外ステージ)が計画、実施、予定されています。東京・生活者ネットワークは、「『国連・人権勧告の実現を!』実行委員会」に賛同団体として参加し、アムネスティ日本反差別国際運動(IMADR)や、ヒューマンライツ・ナウなどとともに、主体的に、広く多くの皆さんへの参加を呼びかけます! 

◆主催団体:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会 では、多数の団体、個人の賛同を募っています。

 

社会権規約委員会:日本に対する第3 回総括所見     2013 年5 月17 日 原文:英語・先行未編集版 日本語訳:社会権規約NGO レポート連絡会議  

◆NGOレポート連絡会議は、社会権規約委員会・第3回日本政府報告書審査 傍聴を経て後、日本政府への勧告に反映されるべく、以下の緊急・追加提言を行いました。

日本政府代表団による答弁の問題点と課題 ~NGOからの追加情報と総括所見に向けた緊急提言~

社会権規約NGOレポート連絡会議 2013年5月7日

社会権規約委員会が規約の効果的な実施に向けて精力的かつ誠実に締約国報告審査に取り組んでいることに心より敬意を表するとともに、期待をしています。

2013年4月30日に実施された第3回審査において日本政府代表団(以下、政府と略す)が行なった答弁は、社会権規約についての認識不足を含め、多くの問題をともなうものでした。これまでの政府の姿勢からも後退している点が多く見られ、NGOとしては見過ごすことができません。社会権規約を実施するうえでとくに重大であり、総括所見で厳しく指摘すべきと考える点に焦点を当てながら、以下、10項目について情報提供と提言をします。 

1.    社会権規約の国内法上の地位(国内適用問題)では、規約に関する理解不足と消極性を露呈した。

政府は、社会権規約は漸進的実施義務を規定するのみであり、実施については締約国に裁量が認められているなどと述べ、一般的意見3号や9号等に表れている委員会の見解や国際的な学説を一顧だにしていません。政府が取り上げた最高裁判決も1989年のものと古く、またこの判決は被告である国の主張を最高裁が追認したものであることを踏まえれば、規約に対する日本政府の理解不足と消極性を明らかにするものでしかありません。

【提言】このような政府の姿勢は、条約の誠実な実施義務に反するものとして厳しく批判されるべきであり、日本国は委員会の一般的意見に従って条約の実施を誠実に推進すべきです。また、社会権規約が裁判規範として裁判で活用されるよう情報提供や研修など必要な手だてをとるべきです。 

2.    個人通報選択議定書の批准に対する姿勢が前政権より後退している。

政府は、主要人権条約に基づいて設けられている個人通報制度を日本が受け入れていない理由として司法制度・立法政策への影響等を挙げましたが、これが理由にならないことは、日本と同様の司法・立法体制をとる国の多くが同制度を受け入れていることからも明らかであり、前政権もこの点を認識して受け入れの具体的検討に着手していました。

【提言】日本国は、人権理事会で理事国を務め、子どもの権利条約の個人通報議定書については提案国にも名を連ねていますので、個人通報制度について定めた諸選択議定書に署名をした上で批准のための具体的作業に移るべきです。 

3.    差別については個別の法律では十分に対応できておらず、さまざまな差別禁止事由を網羅した包括的な差別禁止法が必要である。

政府は、差別は憲法14条に基づいて個別法令で禁止されているとし、包括的な差別禁止法を直ちにつくることは考えていないと答弁しました。しかし政府は、ILO第111号条約未批准の理由として同条約に掲げられた差別禁止事由が国内法で網羅されていないことを挙げており、個別法令による対応が不十分であることは明らかです。

また、政府が差別禁止規定の具体例として刑法の名誉毀損罪・侮辱罪等に言及したのはヘイトスピーチ問題を念頭に置いたものかとも思われますが、これも特定個人・法人に向けられたものでなければ処罰の対象とはならず、差別禁止法制として十分ではありません。障害者差別解消法案が審査直前の4月26日にようやく閣議決定・国会提出されたことも、これまでの対応が不十分なものであったことを実証するものです。政府は、法務省人権擁護機関も差別解消の取り組みを行なっていると説明しましたが、さまざまな差別を包括的・具体的に禁止する根拠法がなく、国内人権機関も設置されていない現状では、実効的な活動ができていません。

【提言】日本国は包括的な差別禁止法を早急に制定すべきです。 

4. 国内人権機関について現在も制定にむけて検討しているというが、現政権の下で設置法案が国会に提出される可能性はない。

政府は、国内人権機関の設置法案を2回国会に提出したと答弁していますが、それらの法案は「パリ原則」からすると独立性や権限において不充分な内容でした。しかも現政権は、国内人権機関を設置する方針ではありません。

【提言】国内の人権侵害およびその救済状況からして、日本国は「パリ原則」に沿って、独立性と十分な権限を備えた国内人権機関を一刻も早く設置するべきです。とくに地方組織を含めた独立性の確保、苦情申立てに対する実効的な調査や勧告などの必要な権限の付与、社会権規約をはじめとする人権条約の実施をその重要な任務とすることの明記、地方組織の委員に関する国籍要件を撤廃することなどが求められています。 

5. 災害弔慰金に関する政府の答弁は、ジェンダーバイアスのかかった、かつ男女差別問題に関する政府の認識・取り組みが不十分であることを露呈した。

災害弔慰金について、ある委員は以下のような多くの質問を行ないました。

ž災害弔慰金の支給額が、男性が圧倒的に多い生計維持者(500万円)とそれ以外の家族構成員(250万円)とで大幅に異なるのは女性に対する間接差別である。

ž災害弔慰金は世帯主に一括して渡されており、個々のメンバーに配分されていないという指摘がある。

ž犠牲者の遺族と語る協議体に女性が少ない。

このような指摘に対し、政府は、多くの質問を無視し、「日本の夫婦は、家計支出については奥さんに決定権があることが多い」旨の答弁を行ないました。間接差別であるという指摘に対して何ら答えていない、意味不明の答弁です。それ以上に、人権について論ずる場でこのようなジェンダーバイアスのかかった、因習的・通俗的認識を公言すること自体、差別問題に関する政府の認識・取り組みが著しく不十分であることの証左にほかなりません。「命の値段」に男女格差を設けるかのような対応とあわせて、厳しく批判されるべきです。

【提言】日本国は間接差別を含むあらゆる男女差別の解消に向けて立法上・行政上・教育上・社会上その他の措置をとるべきです。 

6. 規約13条に対する留保の撤回は歓迎されるが、それにともなう財政措置が十分にとられていない。

規約13条の中等・高等教育の漸進的無償化条項に対する留保の撤回は歓迎されますが、現在のところ後期中等教育(高校)の授業料が無償化されるに留まっており、高等教育については奨学金の「貸与」以外に目立った施策がとられていません。また、委員の質問にもあったように、授業料以外の負担は後期中等教育段階でも維持されています。

【提言】日本国は授業料以外の修学に必要な費用を軽減・解消するための財政措置を、規約13条の趣旨をふまえた教育条件の整備のための予算措置とあわせて追求すべきです。 

7. 朝鮮学校を高校授業料無償化制度から除外する理由は社会権規約の趣旨・規定に反するものであり、政治的動機や世論を理由に人権侵害を正当化するものである。

朝鮮学校を高校授業料無償化制度から除外することについて、政府は以下のような理由を挙げてその正当化を図りました。

・   朝鮮学校が朝鮮総連と密接な関係にあり、その強い影響下で運営されている。

・   拉致問題も起きており、そのような学校に対して国民の税金を使うことは国民の理解を得られない。

・   朝鮮学校が一条校になるか、日朝の国交が回復されれば無償化の対象となる。

政府は、除外は審査基準の観点によるものであり、また韓国学校は無償化の対象となっていることからこれは「民族差別」ではないとも説明しましたが、委員からも指摘があったように、朝鮮学校も過去には無償化の対象に含まれることとなっていたのであり、除外が政治的動機に基づくものであることは明らかです。拉致問題等について子どもに責任がないことは政府も認めており、かかる理由で、しかも世論を理由に挙げて差別を正当化することは、規約の趣旨・目的と両立しません。

【提言】日本国はただちに朝鮮学校を高校授業料の無償化の対象とするとともに、子どもの権利委員会や人種差別撤廃委員会等の総括所見でも勧告されているように、在日韓国・朝鮮人に対する差別を解消すべきです。 

8. 法律の規定にも関わらず、多くの外国人労働者に対して日本の労働保護法制が適用されていない現状がある。

政府は、労働基準・最低賃金・労災等に関する労働保護法制は外国人労働者にも適用されると述べるのみで、労働者としての権利を十分に享受できていない外国人労働者が少なからず存在する実態を無視しています。とくに、いわゆる「不法就労」外国人が労働者としての請求権を行使するのは著しく困難であり、そのための公的支援もほとんど提供されていません。また、国際貢献を謳う外国人技能実習制度の下、「技能実習生」に対して低賃金・長時間労働ばかりでなく、人身売買に匹敵する著しい人権侵害がなされており、制度の建前と実態が大きく乖離しています。

【提言】日本国はすべての外国人労働者がその在留資格等に関わらず、規約6・7・8条等の規定に従い労働者としての権利を享受できるようにすべきです。 

9. 貧困問題について、政府は一般的な経済政策・社会政策を対応として挙げるに留まり、認識不足を露呈した。

貧困と闘うための一般的計画は策定されているかという質問に対し、政府は、新政権の経済政策と既存の社会政策について説明するに留まりました。このことは、日本では反貧困戦略が策定されておらず、その必要性も認識されていないことを意味します。

政府はまた、日本の相対的貧困率を総人口に乗じて算出された貧困者数(約2000万人)について、生活保護受給者が約200万人であることを挙げてその妥当性を否定しました。しかし、相対的貧困の測定基準と生活保護支給の基準はそもそも異なっており、また生活保護の補足率の低さも考えれば、このような理由で「約2000万人」という数字を否定することはできません。このような答弁は、政府が貧困問題を真剣に考えていないことの表れであり、包括的な反貧困戦略を策定・実施する必要性を浮き彫りにするものです。

さらに、ひとり親や共働き子育て家庭への対応が不十分なために起きている貧困化や女性の子育てへの引き留めについての認識はまったく語られず、計画や事業の実施を述べるだけであり、困難を抱える人たちへの支援をする方向性は見られませんでした。

【提言】日本国は、子どもの権利委員会からの指摘・勧告(CRC/C/JPN/CO/3、パラ66・67)も踏まえ、貧困対策をはじめとする社会・福祉政策において、人権基盤アプローチを基本にして、社会権規約の規定を実現すべきです。 

10. 東日本大震災・福島原発事故への対応において、社会権規約の趣旨・規定はまったく意識されていない。

東日本大震災・福島原発事故への対応で社会権規約が適正に考慮されているかという質問に対し、政府は、「原子力災害対策指針ではIAEAやICRPの基準が参考にされており、また最新の国際的知見を積極的に受け入れることも規定されている」旨の答弁を行ないました。しかし、これらの国際機関の基準は社会権規約とは別の観点から策定されたものであり、質問に対する適切な回答ではありません。このような答弁は、東日本大震災・福島原発事故への対応で社会権規約が適正に考慮されていないことを明らかにするものです。

【提言】日本国は東日本大震災および福島原発事故からの復興の視点に社会権規約の趣旨や規定を含め、復興の過程で社会権規約の規定の実現を図るべきです。 

※なお、上記の点に関する詳細は「本連絡会議ほかのNGOレポートを参照」してください。