生活者ネット 都教委による教科書選定現場への不当介入に抗議

2013年10月22日 18時05分 | カテゴリー: ステートメント, トピックス, 子ども・教育

東京都教育委員会が特定の日本史教科書を選定しないよう各都立高校に通知した問題で、10月17日、これを違法・不当として高嶋伸欣琉球大学名誉教授(教育学)ら市民団体のメンバー327人が、東京都教育委員6人に、報酬の一部返還を求める住民監査請求を起こした。 

ここに至る発端は、本年6月27日、都教委が発表した「2014年度(平成26年度)使用都立高等学校用教科書についての見解」にあり、この見解では、「実教出版の教科書『高校日本史A、高校日本史B』の記述のうち、国旗、国歌の掲揚、斉唱に関して『一部の自治体で公務員への強制の動きがある』との記述について、都教育委員会の考え方と異なるものである…」「これら2つの教科書は、都立高等学校などにおいて使用することは適切ではない」とし、都教委が特定の日本史教科書を選定しないよう各都立高等学校に通知したことに端を発する。 

また、東京に続き、大阪府教育委員会も同様の見解を各校に提示。神奈川県教育委員会も今回、実教出版の教科書の使用を希望した県立高校28校に対し「県教委の方針と相容れない」として再考を促したことも見過ごせない事態となっている。 

このような教科書採択現場への教委による介入の理由は何か。実教出版の2つの教科書で教委が「不適切」とした部分は、まさに、3教委ともに、それぞれが行ってきた公務員への強制行為が指摘された記述内容であったから。すなわち、▲都教委は2003年、学校行事で君が代の起立斉唱を義務づけるよう通達し、不起立の教員を懲戒処分してきたこと、▲大阪では橋下大阪府政時代に、君が代の起立斉唱を全教職員に義務づける全国初の条例を制定し、不起立者を懲戒処分してきたこと、▲神奈川県教委は2004年君が代の起立斉唱の徹底と厳正な対処を求める通知を出し、不起立者の氏名を校長に報告させてきたこと――、まさに3教委に共通する指摘、記述内容であったからだろう。 

この件で都教委は、「2012年(平成24年)1月16日の最高裁判決で、国歌斉唱時の起立斉唱等を教育に求めた校長の職務命令が合憲であると認められたことをふまえ、国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施されるよう万全を期していく」のだとしている。しかし、こうした職務命令が合憲とされたからといって、教科書採択の現場である各学校にむけて特定の日本史教科書を選定しないよう方向付けることが許される理由にはならない。ましてや都教委による、「公務員への強制の動きがある」という実態・事実を記載することを禁止する根拠とはなり得ない。先の最高裁判決は、同時に「起立斉唱等を命ずる職務命令が教員らの思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面があることは否定し難い」とする最高裁判決(2011年6月14日)を引用、判示しており、都教委による起立斉唱などの「強制の事実」自体は、当然のことながら否定していないのだ。 

上記をふまえれば、東京都教育委員会(と教育委員)の今回の「見解」「通知」は、教科書選定現場への「不当介入」に当たるものであり、生活者ネットワークは、一連の事態に徹底抗議するとともに、猛省を促すものです。 

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