復興庁、11日支援法基本方針案閣議決定?! 被災者の訴えにゼロ回答、パブリックコメント無視に異議!

東京電力福島第一原発事故を受け、国会議員立法で成立した「原発事故子ども・被災者支援法」。1年2カ月という長期間棚上げにされた挙句、復興庁がこの8月30日に示し、4963件のパブリックコメントが寄せられた「基本方針案」の修正案の概要が昨10月9日に判明した。修正案は与党の了承のもと、明日11日には閣議決定に至る見通しとされる。だが、修正後の基本方針案は、一部文言修正こそ行われたものの、被災者や支援者らが求めてきた、▲一般公衆の被曝限度である年間1mSvを基準に対象地域を規定するべきところ⇒福島県東部33市町村に限る当初案のまま、基準線量も示されず、その判断は曖昧なまま、▲避難者が最も切迫している住宅補助は含まれず、▲県外避難者や当初案で準対象地域とされた地域での健康管理調査については⇒適切に支援する――とされ、むしろトーンダウンしている。

この事態に昨日(9日)、中手聖一さん(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク)ら「支援対象となるべき地域で生活する被災者及び支援対象となるべき地域から避難している被災者の有志105名」が、政府交渉~内閣総理大臣・復興大臣に向け修正案の見直しを求め緊急要請を行った。 

続く本日(10日)には「『子ども・被災者支援法』を活かそう市民の会」が主催する、同じく復興庁交渉~内閣総理大臣・復興大臣に向けた修正案撤回など要請行動に、生活者ネットワークメンバーも連名・参加(要請文は下段)。被災者を受け入れている全国各地の自治体から支援者市民や自治体議会議員らも多数参集した。この日の、主に支援者らによる要請行動では、▲被災者らが求めたすべての論点にゼロ回答の現状への異議に加え、▲特にパブリックコメントの公表、説明もないまま、意見が無視されたままの閣議決定スケジュール――に抗議。復興庁政策調査官は「4963件のパブリックコメントのうち、自治体意見は数十。自治体の長には閣議決定後、書面で応答」「パブリックコメントは取りまとめ中、主たる意見は把握しているので明日の閣議決定後には公表する」などと応答。3・11という政府責任が大きく問われる事態を経てなお、民主主義と対極にある官僚の主権者軽視が露呈した。復興庁には、内容面に加え、「パブリックコメントを開示・説明を経るまでは閣議決定をしない」よう強く要請した。 

■閣議決定強行に抗議の声を届けよう!復興庁(代表)03-5545-7230「子ども被災者支援法担当」へ。

■10月11日(金)8:30~9:30 官邸前で最後の訴え⇒横断幕を広げてアピール行動。いわき・郡山から、被災当事者の皆さんも参加予定です。

12:15~ 記者会見 場所:参議院議員会館101会議室⇒「原発事故子ども・被災者支援法市民会議」、「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟による記者会見を行います。

13:30~15:00 基本方針案の撤回、法の理念に基づく施策を求める院内集会

15:30~17:00 政府交渉(復興庁ほか関連省庁)

 

原発事故子ども・被災者支援法の基本方針案に関する要請―――――――――――

20131010

集会「子ども・被災者支援法 基本方針案 このまま閣議決定しないで パブリック・コメントを無視しないで」(1010日開催)参加者一同 

私たちは、福島原発事故の被災当事者および被災者支援を行っている全国の支援者です。福島の子どもたちの保養プロジェクトや、避難者支援などに取り組んできました。これまで、子ども・被災者支援法の制定や法の実施を通じた十分な被災者支援に関して、復興庁や関連省庁に、市民の立場から要請をおこなってきました。子ども・被災者支援法は、多くの被災者や支援者にとって希望でした。しかし、8月30日に復興庁が発表した「基本方針案」は、問題が多いものです。福島の説明会で、多くの被災当事者が指摘したように、被災者の声は反映されていません。詳しくは添付の新聞記事をご覧ください。基本方針案の発表後、福島と東京で1回ずつ、極めて告知が不十分な「説明会」が行われただけでした。このため、福島での説明会では多くの被災当事者が、「各地で公聴会を」と要請しましたが、まったく顧みられませんでした。支援法の第五条第3項では、「基本方針を策定しようとするときは、あらかじめ、その内容に東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させる…」と規定していますが、復興庁の対応は、この法の趣旨に反するものです。

復興庁によれば、パブリック・コメントは4,900件よせられ、その多くが、各地で公聴会を開くべき、被災者意見が反映されていないのは問題、支援対象地域が狭すぎ、根拠がないなど、基本方針案の根本を問うものでした。また、健診や住宅支援などを求める意見も多かったとのことです。復興庁は、これらの声に真摯に耳を傾け、基本方針案を見直すべきです。 

要望事項は下記の通りです。

1.子ども・被災者支援法第五条第3項に基づき、支援法の基本方針案について、全国各地(注1)で公聴会を開催し、改めて意見聴取を行ってください。

注1)    とりわけ、福島県内外、ホットスポットがある近隣県、避難先である京都・山形・新潟・札幌など

2.パブリック・コメントの検討を、法第十四条の規定(注2)に基づき、公開で行ってください。また、検討の場に、被災当事者・支援者を加えてください。

注2)    「国は、第八条から前条までの施策の適正な実施に資するため、当該施策の具体的な内容に被災者の意見を反映し、当該内容を定める過程を被災者にとって透明性の高いものとするために必要な措置を講ずるものとする」

3.多くの自治体の意見書に従い、年間放射線量が 1 mSvを超える<汚染状況重点調査地域>および福島県全域をすべて、支援対象地域に指定してください。また、土壌汚染や初期被ばくについても勘案してください。

4.住宅支援について

1)借り上げ住宅制度(民間賃貸住宅等を活用した応急仮設住宅の供与)の新規受付を再開してください。

2)借り上げ住宅制度について毎年小刻みな延長を繰り返すことは、いつまでつづくのかわからず、避難者の将来の人生設計を困難にしています。長期(たとえば10年)の延長を要望します。

3)借り上げ住宅制度は、現在、基本的には「借り換え」が認められていません。長引く避難で、出産・子どもの成長に伴って、避難者には借り換えの必要性が生じているため、借り換えを認めてください。

5)既存の公営住宅が逼迫しているまたは避難者にとって利用困難な状況にある場合、福島県外への自主的避難者を含む避難者を対象にした災害公営住宅の整備が必要となると思われるがいかがか。

5.健康支援について

1)「子ども・被災者支援法」の第十三条第二項(注3)、同第三項(被災者の医療費の減免)について、基本方針に盛り込み、検討手法やスケジュールを明記してください。

注3) 第十三条第二項 子どもである間に一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住したことがある者(胎児である間にその母が当該地域に居住していた者を含む。)及びこれに準ずる者に係る健康診断については、それらの者の生涯にわたって実施されることとなるよう必要な措置が講ぜられるものとする。

2)第十三条第二項でいう、「一定の基準以上の放射線量が計測される地域」については、少なくとも、年間放射線量が 1 mSvを超える<汚染状況重点調査地域>をすべて対象とすべきであり、初期被ばくや土壌汚染の状況も鑑みて、さらに広い範囲を指定してください。

3)環境省が設置する有識者による委員会へは、低線量被ばくに関して警鐘を鳴らしてきた専門家、被災者および本問題に取り組んできた弁護士を加えてください。また委員会での議論はすべて公開してください。

以上。 

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