政権交代の実を示せ!今こそ、「子どもの権利基本法」の制定を

「国連・子どもの権利委員会に対する個人通報制度」国連採択に向けて賛同の意思を!

緊急院内セミナーを主催した、左から、森田明彦さん、平野裕二さん、荒牧重人さん、喜多明人さん、森田明美さんら。3月14日、衆議院第2議員会館会議室
緊急院内セミナーを主催した、左から、森田明彦さん、平野裕二さん、荒牧重人さん、喜多明人さん、森田明美さんら。3月14日、衆議院第2議員会館会議室

5月27日・28日には、国連子どもの権利委員会によって子どもの権利条約の実施に関する第3回日本政府報告審査が行なわれる。3月4日、衆議院第2議員会館において緊急院内セミナー『国連・子ども(児童)の権利条約と日本』が開催された。

政府報告書を補う「NGOレポート(NGOレポート連絡会議による)」を提出し、この会を主催した子どもの権利条約総合研究所代表の喜多明人さん(早稲田大学教授)は、これまでの日本政府の取り組みに遅れはあったが、かろうじてではあるが、民主党提案により「子ども・若者育成支援推進法(2009年7月成立)」に、日本国憲法と子どもの権利条約をふまえることが追記されたことを評価。懸案のまま月日を経ている「子どもの権利基本法」制定に確かな道筋を開くよう提言。

続いてNGOレポート連絡会議代表世話人の一人である荒牧重人さん(山梨学院大学教授)は、国会・国会議員は条約実施を担う機関のひとつであることを自覚し、条約の求める立法・法改正を推進するとともに、政府、関係各省庁の条約実施を促進あるいは監視する役割を果たされたい、と求めた。

平野裕二さん(子どもの人権連代表委員)は前政権が提出した報告書では子どもの権利委員会からの相次ぐ勧告(第1回、第2回)に誠実に応答していないばかりか、「権利基盤アプローチ」が一顧だにされていない。また、「差別の禁止、不登校・高校中退・いじめ・自殺・体罰・虐待・少年司法」などの領域で重要なデータが欠落しており、子どもたちの実態が明らかにされていないと指摘。国連子どもの権利委員会による第3回日本政府報告審査を控え、鳩山政権として、積極的に追加情報を提出するよう強く求めた。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの森田明彦さんからは、「国連・子どもの権利委員会に対する個人通報制度」(子どもの権利に照らして、子ども自身が国連に申し立てできる制度:9ある国際人権規約・条約のうち、子どもの権利条約だけが個人通報制度を補完しない)選択議定書の国連採択にむけて積極的に取り組むよう要請した。

院内集会の終盤では、コーディネーターを務めた森田明美さん(東洋大学教授)が締めくくり質問。対して、国会開催中の過密スケジュールのなか、出席した国会議員からは「子どもの権利基本法の制定と国連・子どもの権利委員会に対する個人通報制度に積極的に取り組む」「子どもの権利条約の国内実施を促進する」との姿勢が示された。

昨年は、国連・子どもの権利条約採択20年、日本が批准して15年の節目に当たる年であった。

東京・生活者ネットワークはこれまで、条約の実施を自治体から始める「子どもの権利条例」制定を掲げ、都内各地で条例の整備と実施に注力してきた。今年こそ、新政権には日本の子どもたちが置かれている現状を厳しく認識し、「子どもの権利基本法」の制定に全力を尽くすよう、強く望む。

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