多摩川の最初の1滴と身近な水辺からみえたこと

最初の1滴をもとめて−多摩川を遡る
8月18日、東京・生活者ネット主催で多摩川源探訪ツアーを行ない、東京都民の水道水を涵養する山梨県の水源林を歩いた。
多摩川の最初の一滴が岩の割れ目や葉の先から滴り落ちる様は神秘的とさえ言える。
元水道局職員で40年以上この水源林を守り、現在は多摩川源流研究所に所属する堀越弘司さんに案内いただき、森への造詣にあふれる話は興味深いものだった。
中でも驚いたのは、この水源林が人工林だということだ。明治時代に行われた焼畑農業などによる山火事でこの地域では裸山が広がり、ちょっとした雨でも山崩れや水害などを起こしていた。そこで水道事業を始めた東京府が山梨県から山を買い上げて、森林管理に乗り出し、植林で森をつくったというのだ。
山道の案内板には、1922年(大正11年)に東京市議団が視察した写真があり、この後すぐに植林が始まったとある。現在はカラマツ、ブナ、ミズナラなどの豊かな森が広がる。荒地からの変貌は、人間の知恵と勤労の賜物だ。21,000haを現在は21人で守っているという。

身近な水辺で「発見!」を楽しむ
狛江では、十数人の元気な子どもたちで「野川わいわい探検隊」を結成し、7月25日、「水辺の楽校」を主宰する昆虫や魚に詳しい竹本久志さん、水質調査のスペシャリスト岩間正隆さんの協力で子どもフィールドワークを実施した。
学びの後のお楽しみは川遊び。子どもたちを遊ばせていたら、橋の上から「こんな汚い川で子どもたちを遊ばせないで、プールにでも連れて行きなさい!」とお叱りを受けた。豪雨で下水が流れ込む様を見たことがある方なのだろうか、心配をしていただいたと思うものの、やはり悲しかった。野川中流小金橋付近(狛江市)にもたくさんの生き物が息づいている。川に入って川面を渡る風を受ける時の心地よさを体で感じ、草むらをかきわけて生き物を探す、生き物を傷つけない触り方を教えてもらうといった体験は、プールで安全に遊ぶこととは別の楽しさがある。自然にふれながら、湧き水を集めて流れる野川を、「汚い川」にしないためにどうすればいいのか、おとなも子どもも考えることが必要なのだ。

各地域ネットが地域の団体と連携して行なった水辺の調査活動で、身近な自然や問題点を再発見した。
これらの活動と東京の川についてのアンケート調査をあわせ、策につなげていく予定です。

東京・生活者ネットワーク 代表委員・池座俊子
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